世界かご編み大会2023 in ポーランド 4 -スウェーデンの展示-

屋内会場は、大きく2つのエリアに分かれていました。
1つは、コンテストの参加者が実演をするエリア。
もう一つは、展示と販売ができるブースが並ぶエリアです。
各国の展示の様子をご紹介します。まずはスウェーデンの展示です。
かごは世界において、最も古くから作られている手工芸だということを説明しています。また、残念ながら現在は引き継がれることなく、その技術を失ってしまっているということも。 いくつかの理由としては、土の中で分解される材料でできていることと、人々にとって、ごく普通で実用的なものだったため、使い終わったら燃やされていたことが挙げられるとのことです。 こちらはジュニパーという素材で作られたかごです。ジュニパーはセイヨウネズとも呼ばれるヒノキ科ビャクシン属の木で、その果実はお酒のジンの香りの大事な要素になります。 同じくジュニパーで作られた両手つきのかごです。荒っぽくかっこよい作りで庭仕事、魚釣り、鉄道で使う石炭を入れたりするのに使われていたそうです。 こちらは日本語でバッコヤナギで作られたかごです。スウェーデン中部で作られていたようです。日本ですと、岩手県の面岸(おもぎし)地区で作られる「面岸箕(おもぎしみ)」は、サルナシとバッコヤナギを使って編まれています。寒い地域エリア同士の素材の共通点です。残念ながら、現在お作りになれるかたはいらっしゃらないとのこと。 スウェーデン南部では他のヨーロッパ諸国と同じように、やなぎを材料にしてかごを編んでいたようです。 ヘーゼルナッツが取れるヘーゼルの木を使ったかごもありました。ヘーゼルを使ったかごはポーランドにも見られます。 ほかにも近隣のエストニアなどで見られる、パインや白樺で作られたかごも。

展示をしてくれたスウェーデン人の方とたくさん話をすること、および情報交換をすることができました。
たとえば、
- スウェーデンは(日本とおなじように)南北に長い国で、地域によって気候が違うため、いくつかの異なる材が使われていること
- 以前は、つかう目的別に実にたくさんのかごの種類があったこと
- もとは、かご作りは低所得層の仕事としてのイメージが強かった。刑務所で教えられる仕事のひとつでもあった。
- 19世紀から20世紀初頭にかけて、小規模農業者や高齢者、障害者にとっての大事な現金収入源となっていた。
- いくつかの地域や村では、全員が従事するほど盛んになり、国外輸出もしていた。
- そのような産業として認知されたことで、かごを作る人の社会的地位があがり、
国内での手仕事保護運動の気運も高まり、クラフトショップなどでかごが販売されるようになってきた。

日本のかごやざる、箕の文化が辿ってきた歴史と、
地理的にはそこから遠く離れているスウェーデンでも、系譜としてはそう遠くないということが再確認できました。
スウェーデンのかごをみなさまにご紹介できるよう、こちらの方々とも連絡を取り合っていきたいと思います。
イチカワトモタケ
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つづく