世界かご編み大会2023 in ポーランド 2 -かごに集う人々-
4年に一度、同じ場所でかごを編むためにポーランドに集う人々。
そこでは、同じ言語を話す必要性を感じないほど、お互いに立ち振る舞いで敬意を表し、
お互いの道具を見つめ、その材料について興味を持ち、目で、そして身振りで語り合っています。
かごを編まない私からすると、実に羨ましい瞬間です。
コンテスト開始前の和やかなひと時が終わると、
出場者はそれぞれ自分の材料を手にし、真剣な表情でかご作りに向き合っていきました。
さわぐるみの樹皮を水につけて、状態を確認する佐々木さん。 ヨーロッパでよく使われる材料「やなぎ」は、前日の夜から漬けていた方も多かったです。それだけ元々は乾いた状態だと編むのには硬い素材であり、完成した後もかっちりと丈夫なかごになるということです。 手前の日本人女性はドイツで柳のかご編みを3年間勉強された樋口恵さんです。ドイツのチーム経由で、日本人として出場されました。 佐々木さんも底編みからスタートです。テーブルが想像以上に滑って、編みにくいとのことでした。このような不利な条件で編むことも、海外の大会ならではです。 2日間という短い日程で、材料づくりを一本一本、手で挽きながら始める参加者や、 大型の機械を入れて材料を作る人、 目を見張るような大きな木型を使ったり、 いくつかの木型を組み合わせて、かごの外枠を作ったりと、さまざまなアプローチでかご作りを始めます。 やなぎを材料としてかごを編む方が多かったです。 金属の型に編み込む方も多いです。 モロッコの方はエスパルトというコシのある草、 ニュージーランドの原住民マオリのかごを応用しているかたは、フラックスと呼ばれる草を材として使っていました。 ウクライナチームは麦わらを材料にしています。 台湾チームは、日本と同じような竹を使います。 自然素材以外の競技部門もあり、カラフルなかごを編む人も。こちらはエストニアからの参加者。
今回のコンテスト実演会場は、有料ではありますが、一般公開されているため、お客様が自由に出入りしながら、
その作り手のみなさんのかご作りを、じっくり見ることができます。
会場を訪れたお客様はかご作りに興味津々で、気軽にお話をしてこられるため、
お客さんと話していると、あっという間に時間が過ぎてしまうとのこと。
コンテスト時間内でありながら、随時質問もされるという作り手の方からすると、
バランスや時間配分を考えなくてはいけない大会です。
そして、大会の途中には、「JURY」というたすきをかけた、審査員も巡回してきます。
質疑応答もありながら、のちの審査のために審査員も記録をしていきます。
審査員も、出場者と同じようにかご編みをする人たちです。
その真剣な眼差しから、作り手同士の敬意が伝わってきます。
真剣にかごを作る人たちの背中は、どこか似ていて、いつまでも見ていられる光景です。
イチカワトモタケ
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つづく