世界かご編み大会2023 in ポーランド 9 完 -未来への光-
いよいよ「第5回 世界かご編み大会 in ポーランド」のコラム、最終回となりました。
2日間にわたる実演製作が終わり、安堵した表情を見せる参加者たちでしたが、
主催者から表彰式が始まると伝えられると、また、一種の独特の緊張感に包まれていきます。
各部門ごとに表彰されていきますが、最初の1人が呼ばれ始めると、
会場は「わっ」と手放しの歓声と拍手で盛り上がり、雰囲気がほぐれていきます。
それぞれの部門ごとに名前が呼ばれると表彰台に立ち、賞状と賞金パネルとかごで編まれたトロフィーなどが授与されます。
そして、日本代表として参加された佐々木さんは、
実演のかご部門でなんと入賞されました!
ご本人は呼ばれると思っていなかったようで、驚いて客席の後方から急いで前に移動されていました。
お名前が呼ばれた時には自分のことのように、うれしかったのを今でも覚えています。
各部門の表彰が終わった後には、
いよいよ今大会における各部門を超越した総合グランプリの発表です。
今回の総合グランプリに輝いたのは、こちらの方です!
ベルギーから来ていたジェフカさんです。なんと彼はまだ20歳の青年。
しかし、この大会に年齢は関係ありません。とにかくその技術や仕上がりが今大会No.1と認められたことになります。
私も初日から彼の材料作りの様子などを見ていましたが、
その作業への気迫と、そこから仕上がっていくかごへの向き合い方は、鬼気迫るものがありました。
一度話し始めると、20歳の青年に戻るのですが、
かご作りになると、何かが憑依したようにその若くしなやかな体をうまく使い、シャッシャッと材料をこしらえていました。
会場はスタンディングオベーションとなり、
そこには疑いのない歓声と拍手がなかなか鳴り止むことがありませんでした。
お互いがその腕を認め合っているということが、わかるような実に温かい表情と温度のある拍手の贈り方でした。
大会の総合グランプリの発表をもって、グランドフィナーレとなりました。
それと同時に大雨が降り始めました。
この大会の終わりを惜しんでいるかのような、強く大粒の雨が会場の屋根を叩き続けました。
大会終了後には、各国のメンバーでお別れや再会を誓う言葉をかけ合いながら、
記念撮影が続きます。
思いっきりハグをして、握手をして、再会を誓った後、
各々帰る方向は大きく異なり、陸路で移動する近隣国のメンバーは、
車への荷物を運び始めたと思ったら、あっという間に帰路に。
我々日本チームは、長い長いフライトが待っています。
今大会は、かご作りをされる佐々木さんにとって、大きな出来事だったとのこと。
「これまでの人生で一番おもしろい経験をしたかもしれない」
とまで、言ってくださった言葉がいつまでも私の耳に残っています。
長らくこの大会のコラムにお付き合いいただきありがとうございます。
今回で「第5回 世界かご編み大会2023 in ポーランド」のコラムは終わりになります。
今大会の参加者とのつながりを大事に、
引き続き、少しずつではありますが、皆様に良いかごをご紹介できるよう努めて参ります。
最後に、この大会を主催してくださったポーランドのみなさん、参加者のみなさん、
一緒に参加してくださった佐々木さんやご協力いただいた皆様に心よりお礼を申し上げます。
イチカワトモタケ
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「第5回 世界かご編み大会2023 in ポーランド」 完