-材料採取-- 岩手県のさわぐるみ樹皮 2
さわぐるみの樹皮採取に初めて同行し、
その日の目標である数量に達したという言葉をもらい、ほっと一息していました。
しかし、一服したらすぐに次の作業が、始まります。
切ったさわぐるみの枝が乾いてしまう前に、その場で樹皮を剥いでいきます。
一度、乾いて材がかたく締まってしまうと、樹皮をはぐのには相当の手間を要します。
そのため、ここは時間との勝負です。できるだけ速やかに樹皮を剥いでいきます。
さわぐるみの樹皮の剥ぎ方は、至ってシンプルです。
短い動画ですが、さわぐるみ樹皮を剥ぐ様子を撮影しましたので、ご覧下さい。
この作業が、かごを作るまでの工程で一番好きかもしれないとおっしゃっていました。
私もやってみましたが、実に気持ちが良いです!
そして、何より、剥ぎたてのさわぐるみ樹皮の香りが忘れられませんでした。
普段、私たちが完成したさわぐるみのかごの香りを感じるときには、
芳醇な、熟成したようなまろやかな香りでした。
しかし、この剥ぎたての香りはそれと全く違いました。
例えて言うなら、ウリのような、きゅうりのような、青みとうすい甘味がまざった爽やかな香りでした。
普段、完成品で届けていただく香りしか知らない私にとっては、
全く別の素材の香りでした。
この香りはこの瞬間しか味わえないようで、
実に贅沢な瞬間に立ち合わせてもらったんだと実感しました。
樹皮が剥き終わった芯のほうは、山に返します。
この芯は、1年後にはふかふかに分解され、
土に戻る準備状態になるそうです。
「自分が芯を返した場所は次の年に状況を確認するようにしています。
そこまでしっかりと確認しておきたいですね」
とおっしゃる背景に、山の素材への敬意を感じます。
帰りにすでに今年採取した材料を見せてくださると言うことだったので、
喜んで同行しました。
この度は、2回にわたる岩手県のさわぐるみ採取の記事を読んでいただき、
ありがとうございました。
また、この取材に快く応じてくださった作り手さんにも熱く御礼申し上げます。
このように採取されたさわぐるみ材を、
独自のデザインやサイズ感にこだわって、さまざまな造形を作り上げています。
完成品の風合いもショップページからぜひ、ご覧ください。
イチカワトモタケ
++++++++++++++++++++++++++
このコラムでご紹介したさわぐるみを使って作られた作品をオンラインショップでご紹介しています。
→こちらからご覧いただけます。
(材料採取)岩手県さわぐるみ編 完