タイ/カチュー村を訪ねて 2
こんにちは。店主のイチカワ トモタケです。
ただいま実店舗にて、”ひとつのテーブル” 特集展
タイより / カチューとラタン
-身の周りを整えるかご-
を開催しております。
第2週は4/17(木),18(金),19(土)の3日間となります。
お立ち寄りいただけましたら幸いです。
皆さまのご来店をお待ちしております。
また、公式オンラインショップ、楽天市場店ともに
カチューのかごシリーズをご紹介・販売しておりますので、
こちらもお楽しみいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

さて、前回のコラムのつづきです。
夜明けのバンコクを飛び立ち、飛行機で降り立ったのはタイ南部の都市。
その空港から車を走らせ、目的地のカチュー村へと向かいます。
ひたすらに走る道中。ときどき小さな町や村を見かけ、通りすぎては、
またしばらく自然豊かなエリアがつづき…
このまま延々につづくのかと車窓から外を眺めていると、

パッと目に飛びこんできたのは、このお店!
案内をしてくださるMさん:
「カチュー村までは、まだこの先少しかかりますが、ここのお店もご覧になりますか。」
わたし:
「ぜひ見てみたいです!」
さきほど空港のショップで見たようなお土産物屋さんとはひと味ちがう、
現地の荒物屋さんといった雰囲気の、かご系の問屋さんとみられるお店。
日本だけでなく、どの地域でもだんだんと貴重な存在となりつつあると思うので、
それはぜひ見学したい!と、さっそく車を降りてお店へ。
写真の撮影も許可をいただき、お店の方にもいろいろと教えていただきました。
まずは、こちら。丸ざるや丸箕-まるみ-とよばれるもの。用途によって、編み目の開いたもの、目の詰まったものがある。穀物の選別や干し物作りに使われるのでは。いずれも竹製。 大きいものから小さいものまで。編み目の大きさもいくつかの種類がありました。写真右はもち米を蒸すときにつかわれる竹製の蒸しかご。 写真左、5つほど低く積んであるかごは、もとはお米などの穀物を収穫、運搬、保管しておくかごだったと、チェンマイ(タイ北部都市)でかつて聞いたことがあります。 お店の外にはこちら、笠のようなかたちのかごがたくさんつるしてありました。編み目がとても細やかで華やか。材質は竹のようでした。 こちらは用途は笠ではなく、「虫よけかご」。食卓やキッチンの食事や食材をアリやハエなど、虫から守るフードカバーです。南国らしい原色で織りなす、まぶしい色合い。 この虫よけかご、サイズや柄ごとにたくさんの種類がストックしてありました。自然ゆたかな南国はとくに、虫との付きあい方にも知恵が必要。このたくさんの商品数を見て、今でもしっかり需要のある道具なのだと感じました。どれも仕上げにニスが塗られている仕様でした。 こちらは「カントーク」とよばれる、1人用サイズのタイ式ちゃぶ台で、北部の地域では特別な席の食事で使われます。小皿にのった料理をこのカントークにいくつも載せて食事を取るスタイル。こちらは籐製でした。 店内の天井には大きな袋に入れられて出番を待つかごたちが。道路沿いでドアのないお店なので、なおさら砂埃を避けたいところ。 自然素材のかごがビニール袋に入っているのを見ると、湿気の多いタイですし、カビないのだろうかと気になります。しっかり乾燥させていたり、ニスを塗ったりしているから、案外大丈夫なのかもしれません。 写真の中央から右にかけて、ラタン(籐)のような素材で作られた、つるされているラケットのようなかご。これはMさんに聞いたところ、マンゴーなどフルーツを木からもぎ採る道具とのこと!フルーツの種類によってかごの大きさも違うようです。日本にはないかたちで、おもしろい〜! そしてこちら。日本にもおなじような用途のかごがありますが、漁具です。魚やカエル、カニなどを獲るしかけとのこと。水の流れのある浅瀬に置いて使うそうです。 ランプシェードのようにも見えるこちらも、魚を獲るための仕掛け。水深の浅い田んぼや沼地で魚を獲るのに使います。 大ぶりな葉で作られた笠もたくさんありました。ベトナムのノンラーという帽子にも似た、円錐形のかたち。アジアの、稲作地域に共通して見られる笠です。 ここに巻いて束ねてあったのは竹製のすだれ。おそらく広げてマットのように使うのか。その両脇には、大きな杵や船をこぐ櫂-かい-のようなものが多様なサイズで揃っていました。 大きな竹の縁台。人がゆったりと寝られるベッドのようなサイズです。これに寝そべってのんびりとお昼寝なんて気持ちよさそうです。 カラフルな柄の箒-ほうき-もたくさん並べてありました。すごく穂先が開いていますが、これがタイ式仕様のようです。 店奥の方には、ありました!カチューのマット。お店番用の居所なのか、お昼寝用でしょうか。カチューのござは、しっかりと使いこまれたような味のあるいい風合いになっていました。カチューが、タイの人にとって暮らしに根付いたものだと知ることができて、嬉しくなりました。 とても興味深い品揃えでした!お店の人も明るく接してくださり、本当にありがたかったです。


わたしにとって、かごの素材や製法、用途だけでなく、かごの「流通」も興味のあるところ。
どこでどのような人々によって作られ、それをどのような人が運び、
そしてどのような道をたどって別の村にたどり着き、どのような人に必要とされているのか。
そうしたことを知ることも楽しいですし、大切なことであると思っています。
こちらのお店でそんな話をしているうちに、ハッと気がつき、時計を見るのです。
「わたしたちの目的は、カチュー村へ向かうことだった」と。
いよいよ、つぎこそ、カチュー村へと入ります。
つづく
イチカワトモタケ

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“ひとつのテーブル” 特集展
タイより / カチューとラタン
-身の周りを整えるかご-
2025年4月
10(木),11(金),12(土)
17(木),18(金),19(土)
24(木),25(金),26(土),27(日)
Open \ 11:00ー16:00
実店舗 \ 東京・南千住 「市川籠店」
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これまでも弊店で定番品として長くご紹介してきた「カチュー(水草)」のかごを中心に、
今回の特集展ではじめてのお披露目となる「ラタン(籐)」のかごも並びます。
カチューのような草細工につかわれる素材は”しなやか”であることが持ち味です。
そのカチューが目の詰まった編み地になると”丈夫さ”も生まれ、日常使いに適したかごとなります。
たくさんの商品タイプやサイズがあり、バリエーション豊富なカチューのかご。
軽やかさや取り回しの良さにくわえて、手頃な価格帯であることもあいまって、
日頃からお客さまに大変ご好評をいただいています。
弊店であつかうカチューのかごは、技術のある作り手によるもので、
さらにしっかりと人の目と手による検品を通ったクオリティの高いものたちです。
さらに、日本の風土や暮らしにもなじみやすく素材の風合いをたのしめるよう、
シンプルで自然な仕上がりになっています。
ぜひご覧くださいませ。