ハンスゲルトさんのもとへ ― ドイツ出張記 3

こんにちは。市川籠店の市川伴武です。
さて前回につづいて、「ドイツ出張記 パート3」をお届けします。
今日はドイツ有数の都市フランクフルトから
高速列車ICE(イーツェーエー)と、在来線の列車を乗り継いで
北へ向かいおよそ3時間ほどの、ヴァールブルクという駅を目指します。

はじめてのICEに乗り込みます。
指定の座席に着いたら、事前に買ったチケットのアプリをスマホで起動して、
座席のQRコードと連携し、「有効化」します。
すると、写真のように座席の電子板に目的地が表示されます。
Das ist ja toll! (これはすごい!)

そして、ようやく目的地のヴァールブルク駅へ到着。
駅で出迎えてくださったのはこの方!
ドイツのかごの作り手、ハンスゲルトさんです。
ハンスゲルトさんと初めてお会いしたのは、約10年前。
2015年8月に行われたポーランドの世界かご編み大会まで遡ります。
彼との出会いについてご紹介するため、ここからしばらく2015年にタイムスリップしてみます。

ポーランド2015年大会の前夜祭。大きな倉庫の跡地に参加者がみな集まり、夕食をともにしながら親睦を深めました。このときに振る舞われたポーランドのビールがとてもおいしかったこと! 
そのビールをもう一杯、おかわりをしようと私が列に並んだとき、偶然おなじタイミングで列に並んだのがハンスゲルトさんでした。彼は、とてもやさしい表情と言葉遣いで「お先にどうぞ」と順番を譲ってくれました。その初対面の印象がとてもよかったことを、今でもはっきりと覚えています。 
この大会で行われたシンポジウムでもたまたまおなじテーブルについていたりと、この数日間で何度か接点がありました。ただ、その時は、私にとって初めての大会への参加だったことや、私も販売ブースに立っていた時間が長かったので、それぞれの作り手とお話するタイミングがとれませんでした。 
大会が終わってからわかったことは、彼も作り手であり、ドイツの方であること。そして、その2015年大会では、ドイツの伝統的なパンバスケット(写真)をつくって入賞した名手であること、でした。実際にこのパンバスケットを間近で見たときにはまだ誰が作ったものなのかわからず、ただとても惹かれるかごだったので写真に収めていました。後からこの写真を見て、あのとき、お話しておけばよかったなと、それがずっと心残りでした。

そこから、時は流れて8年後。
2019年の大会を経て、
2023年に、ふたたびポーランドで世界かご編み大会が開催されました。

そして、念願の叶った2025年9月。
ヴァールブルク駅で再会を果たした私は、さっそくハンスゲルトさんの車に乗せてもらい、
お住まいや工房のあるダルハウゼンの町へと一緒に向かいました。
「ここは畑の多いエリアだけど、ぼくの町に向かっていくと、
たくさんの丘や森が出てきたりして、ずいぶん景色が変わっていくよ。」
ダルハウゼンとは、彼曰く、「谷あいの集落」という意味だそうです。
ハンスゲルトさんとの車内の会話や
広い畑のつづく景色から丘陵の町・ダルハウゼンへと入っていくところをショート動画でご覧ください。
【音楽が流れます】

ようやく、ダルハウゼンに到着です。
まずはじめに案内してもらったのは、こちら。
「ダルハウゼン かご職人博物館」でした。

ご担当の方の許可を得て、博物館内の様子も撮影させてもらいました。
その様子は、つぎの「ドイツ出張記 4」でゆっくりとご紹介できたらと思います。
そして、今ちょうど博物館の一角でかご作りのワークショップをやっているから、見に行かない?
と誘われ、その様子を見させていただくことに。

ちょうど私がお邪魔したときにワークショップをされていたのは、
フランスのカレンさん、コランタンさんご夫妻でした。
さいわい、私はこちらのお二人とも以前から面識があり、
偶然にもとてもうれしい再会ができました。
カレンさん、コランタンさんとの出会いも、やはり2015年ポーランド世界かご編み大会が最初です。
お二人のことは、またのちのジャーナルで詳しくつづってまいります。
※2026年現在、こちらのワークショップはお休みされており、再開も未定です。
博物館へのお問い合わせはお控えください。

参加されている方のお話をお聞きしたり、カレンさんとコランタンさん夫妻との再会を喜んだりといそがしくしていたら、ハンスゲルトさんから「トモタケ、よかったらランチ食べない?」と、うれしいお声がけをいただきました。 
ワークショップのみなさんのお食事でしょうから、と丁重にお断りしたのですが、「トモタケは私の大事なゲストだから、ぜひ食べてほしい」という優しいお言葉を。(ハンスゲルトさんはこの日のワークショップの開催者でした。)それに甘えてすこし分けていただきました。ナスとじゃがいもとチーズのコンビネーションがおいしく、つけ合わせがさっぱりとしていて、ペロリと平らげてしまいました! Lecker(レッカー!=おいしい!)

おいしい食事をいただいたあとは、一人でじっくりと、かご博物館を見学してきました。
そちらの内容については、つぎのジャーナル「ドイツ出張記 4」にて。

そして、この日はありがたいことに、ハンスゲルトさんのお宅に泊まらせていただきました。

なんとすてきな!夢のようなゲストルームをご用意いただいて、2015年からの10年を考えると、感慨深いものがありました。自分の家のようにつかってほしい、と嬉しさのあまり涙の出るようなことを言ってくださいました。 
しばらくしてキッチンへ行ってみると、カレンさん、コランタンさん夫妻が、今夜のみんなの夕食を作ってくれるということで、さっそく準備を始めていました。ワークショップを終えてさぞお疲れだと思うのですが、お二人の準備は、手慣れたものです。 
フランスから陸路、自動車でこのダルハウゼンへやって来たお二人、日持ちのする食材をたくさん用意されていました。ワインのお供に鴨肉の生ハムやサラミをたっぷりと。なんておいしそうなんでしょう!コランタンさんが、慣れた手さばきで切りわけていきます。 
カレンさんが持ってきていたのは、こちらの乾燥レンズ豆。 
人参や玉ねぎとソーセージを炒めて、そこにレンズ豆と水とオレンジピールを入れて、煮込みます。 
とてもコクがあって、おいしかった! この夕飯の準備をながめていた、家主でありドイツ人であるハンスゲルトさんは、「今夜はラッキーだ。シェフがフランス人だからね。ドイツ人が担当だったら、こうはいかないよ!」とさわやかにおっしゃいました。

食事の用意がととのったところで、お宅のテラスで、ドイツの瓶ビールを持って乾杯からスタート!
こうして、ドイツ、フランス、カナダ、日本という多国籍での、たのしい宴がはじまったのでした。
Prost!(プロースト=乾杯!)
つづきます。
イチカワトモタケ
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“ひとつのテーブル”特集展
ドイツで出会った、ヨーロッパのかごたち
2026年
2月19日(木)・20日(金)・21日(土)・22日(日)・23日(月祝)
26日(木)・27日(金)・28日(土)
3月5日(木)・6日(金)・7日(土)
Open | 11:00ー16:00
実店舗 | 東京・南千住 「市川籠店」


















