ようこそ、日本へ
こんにちは。イチカワ トモタケです。
今年の春ごろから、ジャーナル「ドイツ出張記」では
2025年9月にドイツ・リヒテンフェルスで開催された
「かご編みフェスティバル」の様子を連載してきました。
(*「ドイツ出張記 2025(全15回)」を最初からお読みいただく方は、こちらをご覧ください。)
その、かご編みフェスティバルの主催者のおひとりであり、私自身も大変お世話になった
ドイツ人のマンフレッドさんが、このたび来日されました。

こちら写真中央の方が、マンフレッドさんです。
先のフェスティバルの前夜祭で、パレードに参加されていたときの一枚。
(*前夜祭の様子は、こちらのジャーナルからどうぞ)
私にとって、長年憧れていたリヒテンフェルスのかご編みフェスティバル。
そこを訪れることができて、まさに夢のようなひとときでした。
日本へ戻ってからもしばらくは、その余韻をかみしめる日々が続いていました。
帰国後も、マンフレッドさんとはときどきメッセージを交わしていました。
そんなある日、「日本へ行きます」というご連絡をいただきました。
思いがけないご連絡に驚きながらも、とても嬉しくなりました。
お話をうかがうと、日本の大学へ進学されている娘さんに会う目的で来日されるとのこと。
まずは東京に滞在されるため、その機会に南千住にある私たちのお店にも立ち寄ってくださるそうで、
もちろん、「ぜひお越しください」とお返事しました。
さらにお話では、かご編みフェスティバルの主催者として、
日本のかご文化についても学びたいと考えておられ、
日本各地のさまざまな場所を訪ねる予定も組まれていました。
とはいえ、来日の一番の目的は娘さんと過ごす時間。
その時間を大切にしたいということもおっしゃっていました。
ひとまずは弊店にお越しいただく日時を確認し、
その日を楽しみに待っていました。

するとある日、ご来店は数日後の予定でしたが、旅程の変更でお店の近くまで来られたとのことで、
マンフレッドさんと娘さんのソフィーさんが立ち寄ってくださいました。
思いがけずお二人をお迎えすることができ、とても嬉しいひとときに。
店内では、ひとつひとつの商品を手に取りながら、時間をかけてじっくりとご覧になり、
ドイツへのお土産として、長野で製作されている井上湧さんの青竹のざるを選んでくださいました。

記念写真を撮りながら、ふと気になったことがありました。
もともとご来店いただく予定だった2日後は、どうされるのだろう、と。
お聞きしてみると、その日ももう一度私たちのお店に来る予定とのことでした。
それはもちろん嬉しいことでしたが、せっかくご予定が空いているのであれば、
日本のかごづくりに携わる方をご紹介できないだろうか、という考えが浮かびました。
そこで妻とも相談し、日帰りでご案内できる場所を探して連絡を取り、
山梨へとご一緒することになり、当日を迎えることになりました。

そして、当日。早朝にマンフレッドさんの宿泊先ホテルで無事に合流し、山梨へ向けて出発です。
昨年9月、ドイツ・リヒテンフェルスのかご編みフェスティバルを主催されていたマンフレッドさんが、
その半年後には私の運転する車の助手席に座っている。
不思議なご縁に、あらためて感慨深い思いがしました。
道中はパーキングエリアで休憩をはさみながら、おたがいの近況やかごのこと、
そして昨年のかご編みフェスティバルの思い出などを語り合い、数時間をかけて山梨へ向かいました。

途中のパーキングエリアで、日本からのお土産をお渡しすると、
マンフレッドさんがにっこり笑って、
「私も、あなたへのプレゼントがありますよ」
と、おっしゃいました。

いただいたのは、こちら。
皮をむいた白いやなぎで編まれたかごです。中にはガラスとキャンドルが添えられていました。
細やかな編み目が印象的で、しばらく眺めていたくなるようなかごでした。
マンフレッドさんによると、リヒテンフェルスでかごづくりを学ぶ学校に通う
学生さんの作品とのこと。
とても丁寧に編まれた、小さなかごでした。
リヒテンフェルスで受け継がれている細編みの技術に触れることができ、
とても嬉しい贈り物となりました。
(*リヒテンフェルスの細編み技術のかごが展示されている「ドイツ・かご博物館」の様子は、こちらのジャーナルからどうぞ)

パーキングエリアでの休憩も、旅の楽しみのひとつです。
飲み物を選びながら、マンフレッドさんは「自動販売機は、とても便利ですね」とおっしゃいます。
東京での滞在中にたいぶ慣れたそうで、手際よく飲み物を買われていました。

さあ、目的地に到着です!
こちらは山梨県北杜市の「竹清堂(ちくせいどう)」さんです。
コンクリートと茅葺き屋根という異なる素材が自然となじんだ建物で、
訪れる人をやさしく迎え入れてくれるような空気がありました。
竹清堂さんは、もともと東京杉並区の桜上水で長くお店を営まれていましたが、
5年ほど前にこちらの北杜市へ移転されました。
(*東京・杉並時代の竹清堂さんを訪ねたときの様子は、こちらからご覧いただけます。)

竹清堂四代目の田中茂樹(しげき)さんが、玄関先で迎えてくださいました。
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早速、茂樹さんの製作された竹かごをご覧になるマンフレッドさん。 -
竹清堂三代目であり、茂樹さんのお父様でもある田中旭祥(きょくしょう)さんの作品も、じっくりとご覧になっていました。 -
写真左は、茂樹さんの奥様・亜希子さんです。いつも弊店に山野草や野の花を届けてくださるほか、「花竹清堂」の屋号で、花活けの教室や贈り物の制作もされています。マンフレッドさんは、ドイツのかご編みフェスティバルで撮影した写真をお二人に見せながら、当時の様子を楽しそうに話してくださいました。 -
マンフレッドさんが見ていらっしゃるのは、竹清堂さんがこれまでのお店の歩みをまとめられた本です。 -
棚の上には、竹で編まれたなにかの足のようなものが置かれていました。 -
実はこちら、かつて竹清堂さんが東京・杉並区でお店を営まれていたときに軒先に飾られていた竹製の象のオブジェの足でした。二代目から三代目の頃、竹のかごやざるの需要がすこしずつ変化していくなか、竹清堂さんでは、竹で編み上げた大きなオブジェやモニュメントの製作にも数多く取り組まれてきました。 -
たくさんの竹清堂さんの記録に、じっくりと目を通されていました。 -
竹で編まれたゴジラ(!)を見つけて、喜ばれるマンフレッドさん。

マンフレッドさんが「竹をどのように加工するのか、とても興味があります」とお話しすると、
茂樹さんはその場で竹を取り出し、実際に割る様子を見せてくださいました。

刃物が竹を割る音、竹の節のつくり、そして割り進めていくリズムまで、
一つひとつを目の前で熱心にご覧になっていました。

ドイツ・リヒテンフェルスのかご編みフェスティバルの主催者である一方、
本業は生物学者というマンフレッドさん。
山々を一望できる竹清堂さんのテラスに出ると、
周りの植物に関心を持たれ、モミジなどの木々を撮影されていました。
山梨の自然を眺めながら、「仕組みは同じだけれど、そこを構成する植物は違いますね」
とおっしゃっていたのが、印象的でした。

おいしいお茶とお菓子をいただきながら、ゆっくりとお話をうかがうことができました。
茂樹さん、亜希子さん、ありがとうございました。
さて、竹清堂さんをあとにして、つぎは昼食へ。
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すこし遅めのお昼になってしまい、お店探しにひと苦労。ようやく見つけたのが、「ちくら」といううどん屋さんでした。入り口には立派なしめ飾りが飾られていて、その見事さに思わずマンフレッドさんと二人でそれぞれ写真を撮りました。 -
こちらでは釜揚げうどんとたけのこごはんのセットを一緒にいただきました。釜揚げうどんは、慣れないお箸では食べにくかったと思いますが、「箸を使って食べたい」とおっしゃったマンフレッドさん。最後までお箸で上手に召し上がっていました。 -
お店のまわりにある植木鉢も、どんな植物なんだろうと一つひとつ確かめるようにご覧になっていました。 -
そして、もう一か所、マンフレッドさんをご案内したかった場所があります。それは、日本の温泉です。お話をうかがうと、リヒテンフェルスの隣町「バート・シュタッフェルシュタイン」にも、有名な温泉があるそうです。塩分濃度が高く、体がぷかぷかと浮くような温泉とのこと。日本では裸で入浴する文化に戸惑われる海外の方も少なくありませんが、マンフレッドさんは「ぜひ入ってみましょう」と快く応じてくださり、一緒に山梨の温泉を楽しみました。 -
私は運転があるので飲めませんでしたが、温泉のあとには、マンフレッドさんにビールをおすすめしてみました。温泉上がりに日本のビールをひと口飲むと、「フレッシュだね!」とひと言。その笑顔を見て、私まで嬉しくなりました。 -
温泉の入り口で記念写真。 -
こちらは、およそ8か月前の2025年9月。ドイツ・リヒテンフェルスのかご編みフェスティバルでの一枚です。あのときドイツで迎えていただいた私が、今度は日本でマンフレッドさんをご案内することになるとは。人とのご縁とは、本当に不思議なものですね。 -
温泉をあとにして高速道路を走り、東京のホテルまでお送りしました。こうして、「マンフレッドさんとの山梨一日ツアー」は無事に終わりました。
マンフレッドさんは、その後も娘さんと関西方面へ足を延ばされるなど、日本での滞在を満喫されたようでした。
今回、日本の竹細工やかご細工の幅広さに触れていただき、
とても喜んでくださったことが、私にとっても嬉しい出来事でした。
最後に、ひとつ印象に残っている出来事があります。
二人で露天風呂に入っていたときのことです。
私は、露天風呂の上を何羽ものツバメが飛び交う様子を眺めながら、
「きれいだなあ」とぼんやり空を見上げていました。
するとマンフレッドさんが、
「あのツバメは三つのグループに分かれていますよ」と教えてくださったのです。
飛び方や巣へ戻る様子、飛んでいる位置などから、それが分かるのだそうです。
おなじ景色を見ていても、こんなふうに見えている世界が違うのだな、と感じた出来事でした。
この日の様子を、こちらの1分30秒ほどのショート動画にまとめました。
上記で画面が大きくならない場合は、こちらからどうぞご覧ください。

急なお願いにもかかわらず、快く迎えてくださった竹清堂の茂樹さん、亜希子さん。
そして、一緒に山梨への一日をご一緒してくださったマンフレッドさん。
あらためて、心より感謝申し上げます。
また、お会いできる日を楽しみにしています。
イチカワ トモタケ