あぶる、曲げる、編む ― 吉田さんご夫妻を訪ねて 4

こんにちは。 イチカワ トモタケです。
吉田竹物のお二人の特集展まで、いよいよ間もなくとなりました。
私たちも初日にむけて、すこしずつ準備を進めています。
前回のジャーナルでは、紀子さんのかご作りの様子をご紹介しました。
今回は、直樹さんのかご作りについてご紹介していきます。

吉田さんご夫妻は、竹工芸訓練センターを卒業したあと、
大分県内の工房で約5年間、修行をかさね、さまざまな竹かごの技術を身につけてこられました。
ご自宅の応接間に設けられたギャラリーには、
これまでお二人が手がけてきた作品がいくつも並んでいます。

そんななか、直樹さんが「竹を曲げる」作業をされるというので、
その様子を見せていただくことにしました。
手にしていたのは、かごの縁につかうという、厚みのある竹ひご。
直樹さんは竹を曲げるための装置のまえに立ち、
しばらく竹の状態を確かめるように、じっと見つめていました。

竹を曲げる装置の内側には、ガスコンロのように火がつく仕組みがあります。
熱が出る部分を狭くすることで、必要なところに効率よく熱を加えられるようになっています。
竹には、熱を加えることでやわらかくなる性質があります。
そのため、かごの縁などにつかう厚みのあるかたい竹も、
温めながらすこしずつ曲げていくことができるのです。
つかう道具は、作るものの大きさや、竹の幅・厚み、
どのくらい曲げるかによっても変わります。
作り手によっては、ドライヤーのようなかたちをした熱送風機をつかうこともありますし、
たくさんの竹を曲げるときには、「七輪がいちばんいい」と話す年配の職人さんもいらっしゃいます。

つづいて見せていただいたのは、竹を編んでいく工程です。

こちらは、お客様からのご依頼で製作されているかごとのこと。かご底の大きさは、台紙をあてながら確認されていました。 
細い竹ひごが重なりあい、広がっていく繊細な編み模様です。 
私には数えきれないほどに見える細い竹ひごを、一本一本、落ち着いた手つきで丁寧に編み進めていました。 
ひとしきり編み進めたあとも、爪先で編み目を詰めたり、竹ひごの本数を確かめたりと、細かな調整がつづきます。時折、竹が乾かないよう霧吹きで水分を含ませながら、さらに編み進めていきます。 
そうしてまずは、かごの底になる平面の編み地が、何枚も作られていきます。 
底編みを終えたものは、電気コテで熱を加えながら、平面だった編み地を90度ほど立ち上げていきます。 
平面だった編み地が立ちあがると、すこしずつかごのかたちが見えてきます。 
平面から立ちあげ、すこし編み進めた状態です。この段階でも、すでに趣のある佇まいが感じられます。

紀子さんが縁をねじり留めする工程を見たときにも感じましたが、
直樹さんの作業を見ていると、かご作りには気を抜けるところがほとんどなく、
竹ひご一本一本の状態を確かめながら進めていることがよくわかります。
竹材倉庫にならんでいた一本の竹が、お二人の手を経て、
すこしずつかごのすがたへと変わっていく。
できあがったかごだけを見ていると気づかないような細かな工程がいくつもあり、
その一つひとつに時間をかけながら、丁寧に積みかさねていくことで、
一つのかごがかたちになっていくのだと、あらためて感じました。
直樹さんが竹を火で曲げたり、細い竹ひごを編んだりする様子を、動画でもどうぞご覧ください。
今回の“ひとつのテーブル” 特集展では、
10月17日(土)に直樹さんが市川籠店にお越しくださり、
店頭で、竹のコーヒードリッパー作りを実演してくださいます。
つぎのジャーナルでは、そのコーヒードリッパーにつかわれる竹ひごが、
どのように作られていくのかをご紹介します。
つづく

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“ひとつのテーブル” 特集展
吉田竹物 | ふたりの手、ふたつの色
– 白竹と炭化竹の籠 –
2026年
10月16日(金)、17日(土)*、18日(日)
10月23日(金)、24日(土)、25日(日)
10月30日(金)、31日(土)、11月1日(日)
*10月17日(土)は、吉田直樹さんが在店され、
コーヒードリッパー製作の実演をしてくださいます。
*上記日程は11時から16時までの間、どなたでもご来店いただけます。
*10月19日(月)、22日(木)、26日(月)、29日(木)は予約制にてご来店いただけます。
下記のページよりお申し込みください。













