Columns – "Weaving Words"

Thailand – Visiting the Village of Krajood (Par...
Join Tomotake Ichikawa (Tomo) as he travels to southern Thailand, meeting local artisans and exploring the villages where Krajood baskets are lovingly handmade. Discover the charm behind these practical yet...

かごに詰める / リトアニア、かごとクラフト 3
2025年2月6日(木)より、実店舗にて開催しております “ひとつのテーブル” 特集展。 「リトアニアより / かごとクラフト -はこぶ、おくる、音と風-」と題して、松の根、やなぎなどのバスケットをはじめとするリトアニアの民芸品をご紹介しています。 どれも見た目にたのしく、身体にやさしい、心おどるものたち。こちらのコラムでもそのラインナップをご紹介してまいります。 ▽ 1. 松の根 手つきのかごシリーズ イラさん、アナさんが作られる、「松の木」の根っこをつかったかご。木の根っこを材料とするかご作り、日本ではなかなか見られませんが、リトアニアを含むバルト地域やスカンジナビア地域ではよく用いられていました。 みずから森に入って採取し、かごを編むためのひごの下ごしらえもご自身たちで行います。ごぼうのような松の根を編みひごにするのもとても手間のかかる作業のため、今では作り手がとても少ないという松の根のかごです。 松の根の「うねり」やごつっとした素材の素朴な手ざわりがありますが、手にふれると繊維はやわらかく、引っかかるような感じもなく、やさしい手当たりです。 シンプルなかごの色味ですので、被せの布や巾着などお好きなものを組み合わせたアレンジも楽しいかと思います。 店頭の特集展では、リトアニアのformuniformの巾着シリーズもご紹介しています。 *写真は、松の根のかごオーバル/ワンハンドルMサイズ+Seaform-シーフォーム-/SSサイズ使用 こちらは、松の根のかごサークル/ダブルハンドルSサイズ+インドのカディコットンを使用した巾着袋の組み合わせです。(巾着袋も店頭にて販売中) かごのかたちは縁が丸いものと楕円のもの。持ち手はダブルハンドルとワンハンドルがあります。 サークル/ワンハンドル Mサイズ オーバル/ダブルハンドル XLサイズ オーバル/ワンハンドル Mサイズ サークル/ダブルハンドル Mサイズ 作りたてのさらっとした風合いやすこし繊維の毛羽立つようなマットな感じ、そして清々しい白さが持ち味ですが、時間とともにしっとりとしてほのかに光沢が出てくる表面や飴色に深まっていくその移り変わりも楽しいものです。 *写真の右は5年ほど使用したもの 松の根 手つきかご サークル オンラインショップページへ 松の根...
かごに詰める / リトアニア、かごとクラフト 3

風をはこぶ / リトアニア、かごとクラフト 2
2025年2月6日(木)より、実店舗にて開催しております “ひとつのテーブル” 特集展。 「リトアニアより / かごとクラフト -はこぶ、おくる、音と風-」と題して、松の根、やなぎなどのバスケットをはじめとするリトアニアの民芸品をご紹介しています。 どれも見た目にたのしく、身体にやさしい、心おどるものたち。こちらのコラムでもそのラインナップをご紹介してまいります。 ▽ 1. “My Cup of Tea” ブレンドハーブティー “My Cup of Tea”はリトアニアのティーブランド。 こちらはヨーロッパに古来からある、豊かな自然に育まれたハーブ文化を背景に、リトアニアをはじめとする世界各地から調達された茶葉やハーブを使ってつくられたオリジナルのブレンドティーです。 いずれも香りよく、フレッシュな茶葉やハーブを乾燥させたものが数種類ブレンドされています。 フレーバーがいろいろあり、たとえばこちらは「カモミール&ミント」。 さらに「リーフ」タイプと、「モスリン」タイプがあります。写真左がリーフ、右がモスリンです。 今回の特集展では、モスリンタイプ、4つのフレーバーが入った「テイスティングセット」も特別にご用意しています。 4つのフレーバーはランダムで、どの味が入っているかはお楽しみ。 はじめて“My Cup of Tea”のブレンドティーを飲む方へ、おすすめの一品です。飲みくらべて好みのフレーバーを見つけるのも楽しいです。 ただいま公式オンラインショップ...
風をはこぶ / リトアニア、かごとクラフト 2

森と湖、奏でる音色 / リトアニア、かごとクラフト 1
2025年2月6日(木)より、実店舗にて開催しております “ひとつのテーブル” 特集展。 「リトアニアより / かごとクラフト -はこぶ、おくる、音と風-」と題して、松の根、やなぎなどのバスケットをはじめとするリトアニアの民芸品をご紹介しています。 どれも見た目にたのしく、身体にやさしい、心おどるものたち。こちらのコラムでもそのラインナップをご紹介してまいります。 ▽ 1.-1 やなぎ 飾り編みのかご サークル リトアニアでは、むかしから室内装飾として用いられ、きのこやベリーなど収穫用につかうかごが「働くかご」なら、こちらのかごは「飾るかご」として、ソビエト時代から各家庭の応接間などにあったそう。 おばあちゃんの家に必ずある、といったような懐かしいアイテムのようです。 こちらは壁にかざって編み目を楽しむのもよいかと思います。 1.-2 やなぎ 飾り編みのかご フルーツ L こちらも装飾性ゆたかな、立体感のある飾り編みかご。なにを入れても、華やかな雰囲気に。 繊細なひご編みですが、やなぎが硬くてしっかりしているので、かごもカチッとしています。 2.-1 大きな洗濯バサミ リトアニアの国樹でもある、「ナラの木(オーク)」で作られた大きなクリップ。 デザイン性があって、見ているだけで楽しい気分に。バネがしっかりとしていて挟む力がしっかりあるので、実用にもお使いになれます。 大きな洗濯バサミのオンラインショップはこちら 2.-2 ストッパークリップ こちらも、洗濯バサミとおなじく、ナラの木で作られたもの。 ハーブティーや袋菓子など、使いかけ、食べかけの袋の口を留めるのに。 スティックの割れ目に袋の口をスライドさせてドーナツ型のキャップを留めるという、シンプルだけれど使い勝手よく、キッチンまわりで重宝します。 3. S...
森と湖、奏でる音色 / リトアニア、かごとクラフト 1

宝石のようなかご / ベルギーの作り手・ジェニーさん、ジェフカさん(後編)
ただいま、実店舗にて開催中の「“ひとつのテーブル”特集展 -やなぎとヘーゼル/ドイツ・ベルギーのかご-」にてドイツの作り手、ベンジャミンさんによるヘーゼルとやなぎのかご、そして、ベルギーのジェニーさん・ジェフカさん作の、やなぎのかごを、それぞれご紹介・販売しています。 どちらも日本では、本特集展がはじめてのご紹介となります。ぜひこの機会に、実際にみていただけましたら嬉しく思います。よろしくお願いいたします。 さて、今回のコラムでは、ベルギーのジェニーさん・ジェフカさんについて紹介いたします。 写真左がジェニーさん、右が息子のジェフカさんです。 お母様のジェニーさんは、やなぎのかごを編み始めて25年ほど。図書館で見つけた本ではじめてバスケットを編み、それからやなぎという素材に魅了されて、「本物の職人技」を探しもとめながら製作をつづけられてきました。 オランダにいるバスケットの職人さんから、理想的なやなぎの栽培方法や、かご編みテクニックを教えてもらったそうで、ほかにも「たくさんの人々が私の情熱に火をつけてくれました」とおっしゃいます。 お母様のかご編みへの情熱は、小さいころから、そばにいた息子のジェフカさんにも自然と受け継がれていたようで、それはジェニーさんの目にも明らかだったそうです。 ジェフカさんは5歳のときにはじめて自分のバスケットを作り、そして11歳のときには、自分が本当に作りたいのは繊細なやなぎ細工であるということに目覚めたとのこと。 彼の熱意におされて、ジェニーさんとジェフカさんは親子で2年間、オランダにいる細編み細工の名手のもとで、修行をされることになりました。 私たちがジェニーさん、ジェフカさんにはじめて会ったのは、2023年の夏。ポーランドにて開かれた「世界かご編み大会」に参加したときのことでした。 親子でコンクールに参加され、それぞれが作品を実演製作されていました。 ジェニーさんはやなぎとオークをつかったバスケット、ジェフカさんは細編みの小さなポットのようなかごを作られていました。 それぞれ違うタイプのかごを作られてはいましたが、材料になるひご作りはジェフカさんがお手伝いしたりと、お互いに助けあいながら作られているのが印象的でした。 やなぎは、ヨーロッパでのかご細工につかわれる素材として最も代表的なもので、その木はやわらかく、しなやか。何世紀にもわたって、さまざまな用途につかわれてきました。 ヨーロッパのかご細工には「ゆりかごから墓場まで」という言葉があり、これは生活の道具として必要なありとあらゆるものを自然の素材で作れる、という意味ですが、ジェニーさんは、ほんとうにゆりかごから棺桶まで、そしてその間にあるあらゆるものを、使いやすいかごとして加工されてきたとのこと。 そして、ジェニーさん・ジェフカさんがもっとも得意とされているのが、繊細な編みのかご細工。 この細かい細工は、やなぎの小枝を金属製のハサミのような道具で割り、カンナ台でひごの幅と厚みをミリ単位でけずっていき、木型をつかってそのまわりにかごを編みつけていきます。 とても手間のかかる技法で、こうしてできあがったかごを、ジェニーさんは「宝石のようなかご」とおっしゃいます。 ジェニーさん・ジェフカさんがかご編みにつかうやなぎは、ほぼ自家栽培のもの。また、収穫と加工もすべてが手作業とのこと。 やなぎは、乾燥させると温かみのある色合いになる4種類のものを栽培されています。 1年ものの小枝を、葉が落ちた冬に剪定し、その後、何日もかけて選別を行い、使いやすさ、太さ、長さで選別し、各タイプが丁寧にまとまるようにします。 その後、乾燥室へ。収穫のあとに乾燥させることで、木材が安定し、自然に収縮するようになるとのこと。 かごを編み始めるときに、バスケットごとにやなぎを選別し、まず2週間、水に入れて浸し、柔らかくなってから編みはじめます。 かご編みの職人になる前、ジェニーさんは教師や、ケアコーディネーターとして働かれていたとのこと。この仕事では、チームを指導し、特別なニーズを持つ子どもたちと一緒に活動をされていたそうです。 ジェフカさんは、バスケット職人になるための訓練に加えて、大工としての訓練も受け、自分で家具を作るために必要な技術を学ばれていたそうです。 彼はいずれ、バスケットと家具作りの技術を組み合わせたものを作りたいと考えられているとのこと。 「私たちはとても小さなバスケットから大きなものまで、多様なかごを編んでいます。バラエティに富んでいるから面白いのです。 私たちが作る製品には機能があることが重要です。自分たちのためにデザインすると、いつも丸い形に戻ってきます。 しかし、ここでも私たちは環境に目を向け、実用的に役立つバスケットを作るようにしています」とジェニーさん。...
宝石のようなかご / ベルギーの作り手・ジェニーさん、ジェフカさん(後編)

出逢い / ベルギーの作り手・ジェニーさん、ジェフカさん(前編)
ただいま、実店舗にて開催中の「“ひとつのテーブル”特集展 -やなぎとヘーゼル/ドイツ・ベルギーのかご-」にてドイツの作り手、ベンジャミンさんによるヘーゼルとやなぎのかご、そして、ベルギーのジェニーさん・ジェフカさん作の、やなぎのかごを、それぞれご紹介・販売しています。 どちらも日本では、本特集展がはじめてのご紹介となります。ぜひこの機会に、実際にみていただけましたら光栄です。よろしくお願いいたします。 さて、今回のコラムでは、ベルギーのジェニーさん・ジェフカさん親子と私たちの「出逢い」について振り返ってみたいと思います。 ベルギーのジェニーさん・ジェフカさん親子とはじめてお会いしたのは、ドイツのベンジャミンさんとおなじく、2023年8月にポーランドのポズナン市で行われた「世界かご編み大会」でした。 初日、大会の会場へ行くと、各国からやってきた参加選手が受付をすませ、ゆるやかに開会式の場に集まりはじめているところでした。 そこで、パッと目を引かれたのは、参加選手や関係者たちが被っていた、編み細工の帽子。麦わら、がま、やなぎ…素材もそれぞれ、皆さんが思い思いの帽子を身につけていて、これからはじまる、かごの祭典への期待がふくらんでいきました。 そのなかでも、ひときわ美しい帽子たちに目が留まりました。 あまりのきれいなかたち、つや。雰囲気の良い帽子だったので、思わずこちらから声をかけ、写真を撮らせてもらったのが、つぎの1枚です。 まだこのときは、2人のお名前も、ご出身も、もちろん親子ともわからないまま。突然お声がけしたにもかかわらず、(きっとあちらも私たちを誰かも知らずに)快く応じてくれました 男性の、少しぎこちなさのある表情と、女性のリラックスした柔和なお顔が印象的でした。 この日、開会式後の前夜祭にはお二人の姿は見えず、お話ができませんでしたが、彼らはどんな人たちなんだろう、あの帽子はだれが作ったのだろうと、とても気になりました。 大会本番でまた会えることを楽しみに、翌日をむかえました。 そして、翌日。会場へ入ると、すぐに「シュッ、シュッ」というリズミカルな音が聞こえてきました。 まだ朝の早い時間。会場は広いけれど、静かな雰囲気だったので、その澄んだ音はあたりに響きわたり、私もすぐに気がつきました。 だれがそんなに気持ちよく音を刻んでいるのだろうと見渡すと、ものすごい勢いとスピードでなんども腕を振りかぶっている人が見えました。 近づいてみると、若い男性がもくもくと、材料のやなぎのひごを刃物に通してかごを編むための材料をつくっているところでした。 その彼が、前日に写真を撮らせてもらったうちの1人、ジェフカさんだったのです。 昨日の帽子を被った彼とは、まるで別人のような真剣な表情で、すばやく、かつリズミカルにやなぎの細い割材一本一本を、工具に通していました。 それは、なんというか、材料を下ごしらえしているという以上の、見応えがありました。すべての動きに無駄がなく、まわりで見ている人は皆、自然と立ち止まってしまうぐらいのあざやかな体の動きでした。 みじかいですが、彼の会場での材料作りのワンシーンをご覧ください。 気迫のこもった勢いで編みひごを作りつづけている彼をまえに、どうしても質問をするのがためらわれたことは、今でもよく心にのこっています。 たとえば日本の竹細工でつかわれる道具とはかたちやタイプが異なりますが、作業としてはよく似ています。こちらは、やなぎのひごの厚みを段階的にうすくしていく作業です。刃物に傾斜がついていて、だんだんと刃物を通す場所を狭めていくことで、ひごがうすくなっていきます。 こちらは、さきほどの厚みにたいして、ひごの横幅を揃えていく道具です。こちらもいくつもの幅の広さに設定された刃物のあいだに、ひごを段階的に通していきます。 おそらく大会のルールである「2日間で完成させること」と「自分が作りたいものにかかる時間」を彼はよく理解していて、それで初日の朝からフルスロットルで仕事を始めていたのだと思います。 かたわらには、細々した作業用の道具を入れている、ふたつきのバスケットが置いてありました(*今回の特集展でもおなじタイプのものを展示販売しています) ジェフカさんの気迫に気後れした私(店主)は、となりでかご作りを始めようとしていた女性の方に声をかけてみました。その方がジェニーさん。そして、ジェフカさんは彼女の息子さんでした。 前日に、あまりにも帽子が素敵で、お声がけして写真を撮らせてもらったお二人が、こちらのベルギーから来ていたジェニーさん、ジェフカさん親子だったのです。 私はいままで三度にわたってポーランドのかご編み大会に来ていますが、親子で参加されているという編み手の方を、ここで見たのははじめてでした。 そんな話を、ジェニーさんとしているあいだにも、ジェフカさんはものすごいスピードで、手を止めることなく、ひたすらにひご作りを進めていました。...