コラム
-予約販売-- しめかざりの種類について
本日より、ご予約販売の受付をはじめました。 はじめてとなる今回は、東京都と長野県産のしめかざりを販売いたします。あわせて23種、大きさの違いを含めると、46点のご紹介です。 オンラインショップのトップページ「種類から探す」→「しめかざり(ご予約注文)」より全種類をご確認いただけます。 それぞれの商品ページでもご紹介していますが、「東京都」のものは、東京都江戸川区にて代々しめかざりを作られている方が製作されています。材料となる稲わらは茨城県つくば市、千葉県成田市などで生産されたものです。 夏のうちに刈り取られた稲わらです。まだ稲に実のなる前に刈ることから、このわらを「青刈り(あおがり)」や「ミトラズ」とも呼ぶそうです。 種類としては7つですが、特に関東地域では馴染みのある、スタンダードな形のものが揃っています。 「ごぼうじめ」や「玉かざり」といった力強い縄綯い(なわない)のものから、「輪かざり」のような華奢でかわいらしいものまで。 いずれも、勢いも感じられつつ、整った縄綯いのしめかざりです。 こちらのものは、紙垂(しで/雷型の白い紙)や御幣(ごへい/赤白の紙)を付属してお届けします。お好みで、橙(だいだい/柑橘の果実)や裏白(うらじろ/シダ植物)、譲葉(ゆずりは)などをご自身で用意して、取り付けられるのも良いと思います。 そして、「長野県産」のしめかざりは、計16種類。長野南部で生産された稲わらを使い、作られています。 稲わらは、大相撲の土俵作りにも使われる、品質の高いものを選りすぐっています。どれも丁寧かつしっかりとした縄綯いです。地元でも、地域や家庭によって、飾られる形はさまざまあるとのこと。また、こちらの方々は長野全域や近県、北海道など、いろいろな地域のしめかざりを研究され、製作にも応用されているので、その地で作られてきた従来の形もあれば、オリジナリティの感じられる作りのものもあります。 しめかざりと言うと、お正月に限って飾るもので、地域や家それぞれの慣習やしきたりがあるというイメージもあるかもしれませんが、東京、長野の生産者の方々、どなたも「とくに決まりはない」とおっしゃいます。神棚には一年通して飾られることが多いですし、また地域によっては玄関かざりを年中飾っているところもあるようです。 こちらでご紹介するしめかざりも、お正月だけでなく、室内のお好きなところに飾って、一年通して「わら細工」を楽しまれるのはいかがでしょうか。ぜひご検討ください。 イチカワ アヤ
-予約販売-- 長野のしめかざり 1
冷たい雨の降るどんよりした天気の昨日とは打って変わって、今日は澄んだ青空と暖かい日差しが心地よい、秋晴れの日でした。 それでも時折、肌に当たる冷たい風は冬の季節がすぐそこまでやってきているようにも感じます。 さて、店頭とオンラインショップでは、年末年始に向けてしめかざりのご予約販売を行っています。10/24(日)まで定価の10%引きとなりますので、ぜひご利用ください。 そのうち、長野県産の稲わらを使い、地元で製作されているしめかざりは全部で16種類。こちらのコラムでは、それぞれを少しずつご紹介していきます。 1. 三社(さんしゃ) 小・中・大 3サイズ こちらは一文字に綯った(なった)「縄」に、わらの束を下げた「サゲ」が付いたシンプルな形です。 弊店で東京のしめかざりとしてご紹介している「ごぼうじめ」の応用ともいえる形です。 縄を雲、サゲを雨、サゲに付いた「紙垂(しで)」を雷に見立てているとも言われます。 雷は稲の実る時期に多く発生することから、稲妻が神聖視されたようです。 神棚用に。 2. 「五社(ごしゃ)」 二尺・三尺 2サイズ こちらもごぼうじめの発展型で、サゲの束が5つ付いた豪華なタイプです。 縄の太さも三社より少し太めの作りです。神棚のサイズに合わせ、「二尺」と「三尺」2つの大きさがあります。 弊店でご紹介している長野製のしめかざりは、「両じめ縄」をのぞき、紙垂や水引などの装飾品はしめかざりに付けた状態でお届けします。(東京のものは、しめかざりに同梱してあり、ご自身でお取り付けいただく仕様となっています。) 3. 「リース」 小・中・大・大大・特大 5サイズ こちらはごぼうじめを輪のかたちにしたシンプルなリースです。 そのまま飾るのもいいと思いますし、橙(だいだい)や裏白(うらじろ)、譲葉(ゆずりは)など装飾品を用意して飾られるのもお勧めです。 ナンテンやセンリョウ、マンリョウなどの赤い実をつける植物をあしらって、クリスマスリースとして楽しむこともできます。 クリスマスが過ぎたら装飾を変え、お正月飾りへ。シンプルがゆえに、アレンジを加えることでいろいろなシーンに対応できます。 お正月が過ぎても、わら飾りとしてそのままお楽しみください。表裏、どちらでも飾れるリースです。 4. 「円満」 小・中・大・特大 4サイズ リース型のしめ縄に、たっぷりの稲穂が添えられています。こちらのような稲穂アレンジタイプは、長野製のひとつの特徴で、ご好評をいただいております。 稲わらは今夏に刈り取りをしたものを使用していますが、稲穂は今年のものでは製作に間に合わないため、去年のうちに採取し、乾燥させておいたものを使っています。 表と裏、どちらも丁寧な仕上がりです。こちらを表側にして飾るのもよいと思います。 質のよい稲わらを贅沢に使った、「豊かさ」をイメージするようなしめかざり。 この力強く、華やかで美しい作りをお楽しみください。 実店舗の開店日には、店頭でもご覧いただけるようにサンプル品をご用意しております。お気軽にスタッフにお声がけください。 また次回以降のコラムでも、引き続き、ご紹介してまいります。 イチカワ アヤ...
-予約販売-- 「しめかざり」はじめます
今日は日差しが強く晩夏を思わせる陽気でしたが、暦の上ではもう10月。あと2か月で今年も終わります。 その年末年始に向けて、来週10/11(月)より「しめかざり」の予約販売を行います。弊店では初めてのご紹介となります。 まだ年末年始の支度を始めるにはちょっと早いかもしれませんが、材料となる「稲わら」の刈り取りは暑夏の盛りに行われ、そこから本格的にしめかざりの準備が始まっています。 ご希望の方にきちんとお届けするため、販売形式は、すべてご予約をいただいてから製作を始める「受注生産式」となります。 そして、お届け時ではなく、ご予約の時点で商品代金を頂戴します。ご注文いただいたしめかざりは12月上旬より順次発送してまいります。 -予約受付期間- 第一次 2021年10月11日(月) − 10月24日(日) 第二次 2021年10月25日(月) − 11月7日(日) 最終 2021年11月8日(月) − 12月5日(日) ご予約は、オンラインショップ、店頭、FAXにて承ります。FAXをご希望の方は、しめかざり予約ご希望の旨と、お名前、FAX番号を明記の上、10/11以降に弊店FAX宛てにお送りください。 お早めにご予約いただいた特典として、第一次期間中は定価の10%引き、第二次は5%引きで販売いたします。(最終受付期間は定価での販売です。) なお、実店舗での現品販売は、ほぼありません。12月末にサンプル品を数点出す予定ではおりますが、おそらく、ごくわずかのため、ぜひ、こちらの予約販売をご利用ください。 次回コラムでは、しめかざりの種類についてご紹介してまいります。 イチカワ アヤ
-材料採取-- 岩手県のさわぐるみ樹皮 2
さわぐるみの樹皮採取に初めて同行し、その日の目標である数量に達したという言葉をもらい、ほっと一息していました。 しかし、一服したらすぐに次の作業が、始まります。 まばゆい採りたてのさわぐるみの枝の表皮 切ったさわぐるみの枝が乾いてしまう前に、その場で樹皮を剥いでいきます。一度、乾いて材がかたく締まってしまうと、樹皮をはぐのには相当の手間を要します。 そのため、ここは時間との勝負です。できるだけ速やかに樹皮を剥いでいきます。さわぐるみの樹皮の剥ぎ方は、至ってシンプルです。 しっかりとしたサイズのカッターで上から切り込みを入れていきます。 そのまま一番下までスーッと入れます。 そして、カッターの後ろについているヘラのような部分を切り込んだところに差し込み、 グッと幹と皮をてこの原理で離します。 切り込みを入れた方を体の向こう側に向けます。 あとは、そこに両手の指を深く入れ、開くようにして剥いでいきます。 そして、そのまま下まで指を入れたまま下に進んでいくとご覧の通り、きれいに剥けていきます。 ここまでくればあとはするすると面白いように剥くことができます。 短い動画ですが、さわぐるみ樹皮を剥ぐ様子を撮影しましたので、ご覧下さい。 https://youtu.be/X90frBUXdbA 剥ぎたてのさわぐるみ樹皮の内側。色が白いのに驚きます。水分がしたたっています。 この作業が、かごを作るまでの工程で一番好きかもしれないとおっしゃっていました。私もやってみましたが、実に気持ちが良いです! そして、何より、剥ぎたてのさわぐるみ樹皮の香りが忘れられませんでした。普段、私たちが完成したさわぐるみのかごの香りを感じるときには、芳醇な、熟成したようなまろやかな香りでした。 しかし、この剥ぎたての香りはそれと全く違いました。例えて言うなら、ウリのような、きゅうりのような、青みとうすい甘味がまざった爽やかな香りでした。 普段、完成品で届けていただく香りしか知らない私にとっては、全く別の素材の香りでした。この香りはこの瞬間しか味わえないようで、実に贅沢な瞬間に立ち合わせてもらったんだと実感しました。 こちらが剥かれた後の芯の方です。 樹皮が剥き終わった芯のほうは、山に返します。この芯は、1年後にはふかふかに分解され、土に戻る準備状態になるそうです。 「自分が芯を返した場所は次の年に状況を確認するようにしています。 そこまでしっかりと確認しておきたいですね」とおっしゃる背景に、山の素材への敬意を感じます。 芯から剥がされた樹皮です。あたりには爽やかな香りが漂います。 芯と樹皮をどんどんと剥がし、分けていきます。 滑らかで透き通るように美しい内側です。 みなさまにお届けするかごの裏皮は黒いですが、剥ぎたてはこのような色の組み合わせです。 剥ぎ終わった皮はビンを使って、白い内側をくるくると逆向きに巻いていきます。 樹皮はもともと丸まっていたほうへ戻ろうとするので、しっかりとビンに押し付けながら、巻いていきます。 うまく流れができればビンを抜いて、まとめていきます。...
--材料採取-- 岩手県のさわぐるみ樹皮 1
東京では新緑の香りから初夏に移っていく季節。岩手のさわぐるみ樹皮を使ってかごを製作されている方にお願いをして、材料採取に同行させていただくこととなりました。 竹や笹などを細工される方の材料採取は、水揚げが終わって、材が締まってくる秋から雪が降るまでの季節が一般的です。それに対して、くるみ樹皮や山ぶどうの蔓の材料採取は、水分をたっぷりと含んだ春から梅雨時期が最盛期となります。 真夏でも剥ぐことはできるそうですが、とにかく暑く、周りの草の繁茂を目の当たりにすると、まずやる気がそがれること、実際に草をかき分けながらの作業となるため、かなり効率が悪く、体力を消耗するとのこと。岩手県山沿いの初夏は、車で窓を開けながら走っていると、長袖のパーカーを着ていても、当たる風が肌寒かったです。これから、材料採取という野外活動をするにはちょうどよい季節なのかもしれないと感じました。 朝9時過ぎに待ち合わせの駅で合流し、車に乗せていただき、1時間ほど走りました。 事前に調べてくださっていた材料採取ポイントへ向かいました。 雲がかかった岩手山。盛岡からポイントへ向かう途中の車窓から。 40分ほど過ぎたときには林が左右にある中を走っていて、人が住む家はほとんどなくなり、みるみる道は細くなっていきました。 さらに道の横を走る小川は右に左に向きを変えて、道の下を何度も横断していました。人が作ったものではない、自然の成り行きでできた川の道でした。 「あー、これもさわぐるみですよ」 と都度、運転席から教えていただくのですが、最初はどの木がそれなのか全く判別がつきませんでした。 岩手県の大きな大きな自然 しかし、何度か教えていただいているうちにふと、あることに気がつきました。「距離が近い。」自分たちが走っている川沿いの道とさわぐるみの木が生えている場所の距離が近いんです。 「さわぐるみ」という言葉。さわぐるみは「沢胡桃」と漢字で書きます。山ぐるみもありますが、こちらは沢の方。 なるほど、とにかくさわぐるみの実は、車道の下を右に左に横断しているこの小川(=沢)の流れを利用して、種を新しい場所へ運んでいるのだ。景色に目を戻しながら、川のすぐそばにさわぐるみの木が立っているということに、「そうかー、そういうことなのか。」と、声を出して感心してしまいました。 山ぐるみの実と違い、さわぐるみの実は普通、食べないといいますから、この沢の流れが大変重要なことがわかります。さわぐるみという言葉は日々お客様にご説明するときにも使っていましたが、その本当の意味がバチーンと一致した瞬間でした。 このようなことは現地に来て、目の前でその状況を見ることで、一瞬のうちにクリアに理解できるのですね。実に勉強になります。 そんなことを一人で考えているうちに、車のスピードが急に緩やかになりました。 「ここが楽園なんです。」 さわぐるみの若木が林立している「楽園」 ほんとうに嬉しそうに、そして、少し興奮した声でその言葉を発し、車を邪魔にならない場所に停めました。そこから見える範囲にはさわぐるみの若木がまさに林立していました。 さわぐるみの若木 さわぐるみ細工に使うのは、2〜3年ものが多いとのこと。先端に淡い緑の葉が出てきたら、樹皮を剥ぐことができるサイン。 正直なところ、私はさわぐるみの樹皮と聞いて、立派な太い木の樹皮の一部を剥ぐものだと思っていました。しかし、実際は比較的若くて、細めの枝を切るということです。 それでは、はりきってさわぐるみの材料採取、いってみましょう。 材料採取に使うのはこちらのノコギリ一本。 さわぐるみはこのように株立ちしています。 さらに途中でこのように枝分かれしていきます。 それら株立ちしたものからの全てではなく、2-3本を切ります。 切るときの目安は大人の手で掴めるこの程度の太さ。 切った枝の断面です。皮の部分と芯の部分、水分を吸う中心の部分がくっきりと見てとれます。...