コラム

企画展- オンライン受注会始めます
先月になりますが、3月17日より27日までの11日間、弊店にてはじめての企画展「青竹工房 桐山 個展 --米研ぎ笊から籠バッグまで--」を開催いたしました。 もともと桐山さんの籠のファンだという方々をはじめ、青竹細工に興味をお持ちの方、籠が大好きで弊店にはじめていらしたという方、多くのお客様に足をお運びいただきました。 ご予約、ご来店いただいた皆さま、誠にありがとうございました。 とくに今年に入ってからは、コロナ感染が流行の兆しを見せていたこともあり、無事に開催できるのか、その可能性を桐山さんと何度もご相談し、検討を重ねてまいりました。 決して先行きの見通せない中で、そして1か月の会期延長というイレギュラーな事態の中でも、 桐山さんご自身は常に揺らぐことなく、日々のご製作を続けられ、最終的には総数にして70点近くの作品を、この企画展のために作ってくださいました。 店内を埋め尽くすほどの作品の数々。これほど多くの「青竹工房桐山」作品を一堂に見られる機会はそうありません。 ぜひ、少しでも多くの方に見ていただきたいという思いから、オンラインショップでも受注販売会を行う運びとなりました。 会期中にご来店を控えられた方や、遠方の方にもぜひ、ご利用いただけたら幸いです。 《企画展 青竹工房 桐山 個展 -オンライン版・受注販売会-》 【受注期間】 2022年4月14日(木)〜4月24日(日) 【ご案内とご注意】◎商品のご購入について各商品ページの冒頭で重要事項をご説明しています。ご購入の前に必ずお読みいただき、ご了承の上でカートへとお進みください。 ◎ご配送について現品の在庫があるものは受注後、3営業日以内に発送いたします。在庫のないものに関しましては、製作・お届けまでに6か月から1年ほど、お時間をいただきます。また、今回いただく受注の全体数によっては、上記以上のお時間をいただく場合もございます。ご了承ください。 *受注販売会ページはこちら //ご案内// * 桐山浩実さんについて、2/27リリースの『婦人画報デジタル』にて工芸ライターの田中敦子さんによる取材記事が掲載されています。ぜひご覧ください。 →桐山浩実さんのご紹介記事 * 弊店も個展開催場所としてご紹介いただきました。よろしければこちらもご覧くださいませ。 →市川籠店のご紹介記事
企画展- オンライン受注会始めます

企画展- 開催中です
3月17日より企画展「青竹工房 桐山 個展 --米研ぎ笊から籠バッグまで--」が始まりました。 初日からの5日間は、大分から作り手の桐山浩実さんにお越しいただき、青竹箸削りの実演をしていただきました。 いい飴色の艶が出た桐山さん製の籠バッグをお持ちになるお客様もいらしたり、すでに桐山さんの籠をいろいろお持ちだというファンの方もいらして、お話しながら、教えていただくことも数多くありました。 また、竹籠に興味を持ち始めたから、とお越しくださった方も。お客様と桐山さんのお話を傍で伺いながら、心が温まる5日間となりました。 ご予約いただき、ご来店くださった皆さま、誠にありがとうございました。 この後も会期は続きます。ご予約なく、ご自由に見ていただけますので、どうぞお立ち寄りください。 桐山さんが実演をされていた席の後ろには、花を生けた「青海茶籠(せいかいちゃかご)」、四ツ目編みの「折敷(おしき)」(写真左上)、「野籠(のかご)」(左下)が展示されています。(※3点ともご購入いただけます。) 1. 青海茶籠 「青海茶籠」は、摘んだ茶葉をまとめて入れ、背負い籠として使う「茶籠」がベースとしてあります。この青海茶籠もかなり大ぶりな籠ですが、実際の茶籠はこの4倍ほどの大きさがあるそうです。 こちらは茶籠をぐっとスリムにして、青海編み(籠の上部の編み模様)を施したものです。光が当たると陰影がつき、青い海の波を想起させます。 ときには花入れとして、ときには籠そのものをお楽しみいただけるのではないかと思います。 近くでご覧になりたい方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけください。 2. コンポートバスケット そして、センターテーブルには、桐山さんが「この形を作ってみたかった」とおっしゃる盛り籠、「コンポートバスケット」があります。 キュッとくびれたこの形こそが、桐山さんが作り出す形です。 横から見た時と、上から見た時は全く違う美しさの世界が広がります。 果物やお菓子を盛ったり、その広がりはさまざまなものを受け止めてくれることと思います。 3. たまご籠・買物籠A こちらは「たまご籠」と名付けられた可愛らしい籠です。その名の通り、卵を入れて運びたいという方のリクエストにより生まれた籠とのこと。 たまご籠は、楕円型の口をした「買物籠(A)」にちょうどすっぽり収まるサイズで、バッグインバッグとして使えるようにも考えられているそうです。 何と楽しい使い方、と嬉しくなりました。 花籠やリモコンを入れておく籠にも。小さいながらにいろいろなシーンで活躍するのではないかと思います。 4. ガーデンバスケット(F) 桐山さんは、竹細工を始められる以前、もとは木工を仕事にしようとされていたそうです。写真左にあるのは、その頃(30年ほど前)、奥様のお誕生日祝いに製作された裁縫箱です。 そしてその隣にある「ガーデンバスケット(F)」。こちらは、庭師(ガーデナー)の方からのリクエストで生まれたかごで、道具類とお弁当を分けて入れるのに蓋付きの籠を、ということで考えられたそうです。桐山さんを代表する作品の一つともいえる、特徴的な佇まい。 そして、機能性とその「カタチ」は、裁縫箱と共通するものがあるように感じられます。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ こちらは桐山さんが大分県別府の訓練センターに入所後、たったの半年で作られた籠です。わずか半年でここまでの作品を作り上げる情熱と素質におもわず脱帽します。 桐山さん所蔵品となりますが、お預かりして展示しておりますので、ご来店の際には、ぜひご覧になってみてください。...
企画展- 開催中です

企画展- 作品のお渡しにつきまして
企画展「青竹工房 桐山 個展」開催まで、あと2日となりました。 桐山浩実さんご在店中のご来店予約(3/17木-21月祝)ですが、引き続き受け付けております。この5日間は完全予約制となります。ご予約なしではご入店できませんので、お気をつけください。 また、企画展最終日まで全作品を展示いたします。少しでも多くの方に、その幅広い籠の数々を直に見ていただきたいと思っております。ぜひ、お立ち寄りください。 さて、ご来店いただく方へ、いくつかのご案内がございます。お越しいただく前に、お読みいただけますと幸いです。 *1 お渡し時期 展示作品は70点ほどですが、それぞれがほぼ(1点を除き)一点物となります。最終日まで全ての作品を展示するため、開催中にご購入いただいた作品は、全て企画展終了後(4月以降)のご配送となります。予めご承知おきいただきますよう、お願いいたします。 *2 受注 ご購入希望の作品1点目がご売約済みの場合は、受注を承ります。お渡し時期はおおよそ3か月以内となります。 *3 お支払い そのため、どの作品もお渡しは4月〜6月頃となりますが、お支払いは全てご予約時に、店頭にてお願いいたします。現金のほか、クレジットカードや電子マネーでのお支払いも承ります(QR決済は除く)。 *4 ご配送料 次のいずれかとなります。 展示品(1点目)をご購入の場合 → 無料(弊店負担) 受注製作の場合 → 配送料を頂戴いたします なお、展示品と受注品をどちらも購入された場合は別々のご配送となるため、それぞれの配送料が適用されます。 何かご不明な点がございましたら、お電話やメールでお問い合わせください。また、こちらのご案内は弊店コラムにも載せましたので、お時間のあるときにご覧くださいませ。 会期中は雨の予報も見られますが、弊店から少し足を伸ばした都立汐入公園や隅田川沿いでは桜が見頃を迎えています。天気の良い日には散策とともにお楽しみいただけたらと思います。 皆さまのお越しをお待ちしております。 大分県竹田市 //ご案内// *桐山さんが在店される5日間(3/17〜3/22)のご来店は、完全予約制となっております。 まだ空きのある時間帯もございます。ご予約の上、ご来店ください。 ご来店予約はこちらよりどうぞ **桐山浩実さんについて、2/27リリースの『婦人画報デジタル』にて工芸ライターの田中敦子さんによる取材記事が掲載されています。ぜひご覧ください。 →桐山浩実さんのご紹介記事 ***弊店も個展開催場所としてご紹介いただきました。よろしければこちらもご覧くださいませ。 →市川籠店のご紹介記事 企画展名 :...
企画展- 作品のお渡しにつきまして

企画展- 青竹工房 桐山 個展
当代(5代目)になってから8年目となる、2022年の今年。 これまでは籠(かご)や笊(ざる)、箕(み)を中心にいつでもご覧いただける常設店として営んでまいりましたが、この春、弊店では初めての試みとなる、期間限定の企画展をおこなう運びとなりました。 その記念となる第一回は、3月17日から始まる、大分県竹田市で籠作りをされている「青竹工房 桐山」さんの個展です。 こちらを主宰されている桐山浩実さんは、竹細工の道を歩まれて30年以上の名手。 青竹細工(あおたけざいく/切り出したままの青い状態の竹を使う細工)を専門とされ、人々の営みになくてはならない必需品、農林漁業の用具から生活道具まで、さまざまな場面で使われる道具を製作されています。 その工程においては、自生する真竹や山に生えるツツラフジを自らの目で見極め、伐採することから始まり、竹割りやひご作り、籠編みに至るまでの全てを担われます。 一本一本の竹と対峙し、30年で積み重ねられた技術と、つねに緊張感を持って進められる仕事。 そこから生まれた籠は、力強く、美しく、そして優しさを含んでいるように感じられます。きっと傍に置いておくだけで、その人の暮らしや心を支えてくれる、パートナーのような存在になるのではないかと思います。 はじめて拝見したときから、ひと目惚れのごとく魅了された籠の数々。 当代の私たちになってから、長くお付き合いをいただき、たびたび店頭やオンラインショップにて作品をご紹介してまいりましたが、今回は、はじめて作品を一堂に集めた企画展を開催することになりました。 自分たちにとっては経験のないことで、小さな弊店にはまさに大きな決断でしたが、桐山さんがいてくださったからこそ、新たな一歩を踏み出せたと感じます。 今回の個展では、米研ぎ笊、カトラリー入れ、花籠、 ランチバスケット、買い物籠、手提げなど総数70点ほどの、幅広いタイプやサイズの作品をご覧いただきます。 展示作品は全て販売し、一点もので売約済みのものは受注を承ります。また、会期の最終日まで全ての作品を展示いたしますので、一堂に会する「青竹工房 桐山」の作品の数々をお楽しみください。 作り手の桐山浩実さんと直接お話しでき、箸削りの実演をご覧いただける貴重な機会となります。 また、作品以外にも、素材や道具、写真、桐山さんゆかりの所蔵品を展示する予定でおりますので、どうぞ足をお運びいただき、ご覧いただければ幸いです。 大分県竹田市 //ご案内// *桐山さんが在店される5日間「3/17(木)〜3/21(月祝)」のご来店は、完全予約制となっております。 まだ空きのある時間帯もございますので、よろしければご予約の上、ご来店ください。 ご来店予約はこちらよりどうぞ ←ご予約期間終了しました。 **桐山浩実さんについて、2/27リリースの『婦人画報デジタル』にて工芸ライターの田中敦子さんによる取材記事が掲載されています。ぜひご覧ください。 →桐山浩実さんのご紹介記事 ***弊店も個展開催場所としてご紹介いただきました。よろしければこちらもご覧くださいませ。 →市川籠店のご紹介記事 企画展名 : 青竹工房...
企画展- 青竹工房 桐山 個展

人と店- 竹清堂さん
少し前のことになりますが、昨年10月の某日、東京杉並区の「竹清堂(ちくせいどう)」さんを訪問しました。 京王線桜上水駅から5分ほどの甲州街道沿いに店舗を構えていらっしゃいます。 竹工芸品を制作、販売されているお店で、創業は1907年(明治40年)。115年に渡り、代々、この地で作り続けられています。 現在は三代目となる田中旭祥(きょくしょう)さん・淳子さんご夫妻、そして四代目となる茂樹さん・亜希子さんご夫妻が、お店を守られています。 こちらは制作をされている工房の様子です。 旭祥さんと淳子さんは、大分県にある現・竹工芸訓練センターで修行された後、先代からお店を引き継がれて、こちらの工房で花籠や茶籠、ランプシェードなど精巧で丁寧な作りの籠から能舞台で使われる道具作りまで、多種多彩な工芸品を作られています。 旭祥さんはこれまで40年以上に渡って「日本伝統工芸展」に入選なさり、定期的にアメリカで個展を開かれるなど活動され、2008年には芸術部門の紫綬褒章を受賞されています。 息子の茂樹さんも、20歳のころから工房に入られ、もうすでに20年以上、竹工芸の道を歩まれています。 竹清堂さんの屋号は、二代目である、旭祥さんのお父様の清(きよし)さんが営まれていた店名「田中清商店」が由来。 初代の頃には、運搬用の角籠や給食の調理に使われる亀の甲笊など、生活用具としての竹籠を作られていたそうですが、清さんの代になると、高度経済成長時代の影響で需要が竹製品からプラスチックや段ボールに変わっていき、思うように売れなくなっていったそうです。 そこで、清さんは竹の造形物を作ることを考えます。竹ひごで編んだ白鳥を店の屋根に置いたことが人々の目を引き、それから依頼された造形物を次々に作られていったとのこと。辰や虎など干支にちなんだお正月飾り用のもの、鰻屋さんの立体看板、原爆反対のオブジェなど、迫力のあるものからユニークなものまで。実物大とも思える4、5メートルはありそうな恐竜の造形物も。こういった造形物は数人がかりで寝る間も惜しんで作るほど大変だったようです。相当の気力や体力が必要とされたのではないかと思います。 近年では、大きな象さんがお店に飾られているのが、印象的でした。(写真右《または上》参照/今は冒頭の写真の通り、象さんは引退されています) 竹清堂さんのHPでもいろいろな造形物の写真を見られますので、ぜひご覧ください。 竹清堂さんの作られた造形物については、こちらの本にも詳しく載っています。 旭祥さんと茂樹さんが造形物についてインタビューを受けられていて、そのほか、最初から最後まで丁寧に綴られた内容ですので、竹細工についてご興味のある方には(そうでない方にも)ぜひお勧めしたい本です。 上段《または2つ前の》写真、右《または上》写真:西荻案内所編著『西荻にいたピンクの象』 そして、こちらは竹清堂さんの工房に併設されたギャラリーの様子です。 竹清堂さんと弊店は、同じ東京の地で、竹細工を生業とする店として明治期に創業したという共通点があります。 初代や二代目の頃は、竹清堂さんでも運搬に使う角籠や野菜籠、給食用の亀甲ざるなど、生活用具としての籠を数多く作られていたそうです。 その後は、竹清堂さんは竹工芸の道を歩まれ、弊店は三代目で製作を辞めて販売専門となり、進む方向が少し異なりましたが、それでも、私たち夫婦は勝手ながら親近感を覚えるところがあり、お店を継いで間もないころに突然お訪ねしたことがありました。 突然うかがい不躾だったにもかかわらず、そのときにいらした旭祥さんと淳子さんは、ご丁寧に作業の手を止めて、いろいろと優しくお話しをしてくださいました。 そのときのお話では、旭祥さんは、50年ほど前に、お父様の清さんとご一緒に弊店へいらしたことがあったそうです。角籠を作ってくれないか、という製作の依頼のためにいらしたとのこと。 それから、折々でお付き合いをいただいています。 茂樹さんの奥様、田中亜希子さんはお花の専門家でもいらして、「花竹清堂」としても活動されています。 山野草や野の花の活け込み、ブーケや籠花のご制作のほか、竹清堂さんでのお花のレッスン、販売も手掛けていらっしゃいます。 毎月、弊店にもお花を届けていただいていますが、季節を通したお花の変化を楽しむことができ、山や野の花が、小さな店内に潤いや華やかさを与えて、心地の良い風を引き込んでくれているようにも感じられます。 そして、先月になりますが、2021年12月末に竹清堂さんは大きな節目を迎えられ、現在の杉並店を閉店し、山梨県北杜市に移転されることとなりました。 夏ごろにご移転のお知らせをいただいたときには、我が目を疑い、とても驚きましたが、やがて、素晴らしいご決断だなと、じわじわと感動したのを覚えています。 場所が変わっても、竹清堂さんの築かれてきたものはきっと変わることなく、また山梨の地で根付いていくのだろうと思います。 以前はギャラリーとして使われていた建物を新しい店舗とされるそうです。いろいろお写真を見せていただきましたが、それはそれは素敵な空間に、ワクワクしてしまいました。...
人と店- 竹清堂さん

-材料採取-- 岩手県のさわぐるみ樹皮 2
さわぐるみの樹皮採取に初めて同行し、その日の目標である数量に達したという言葉をもらい、ほっと一息していました。 しかし、一服したらすぐに次の作業が、始まります。 まばゆい採りたてのさわぐるみの枝の表皮 切ったさわぐるみの枝が乾いてしまう前に、その場で樹皮を剥いでいきます。一度、乾いて材がかたく締まってしまうと、樹皮をはぐのには相当の手間を要します。 そのため、ここは時間との勝負です。できるだけ速やかに樹皮を剥いでいきます。さわぐるみの樹皮の剥ぎ方は、至ってシンプルです。 しっかりとしたサイズのカッターで上から切り込みを入れていきます。 そのまま一番下までスーッと入れます。 そして、カッターの後ろについているヘラのような部分を切り込んだところに差し込み、 グッと幹と皮をてこの原理で離します。 切り込みを入れた方を体の向こう側に向けます。 あとは、そこに両手の指を深く入れ、開くようにして剥いでいきます。 そして、そのまま下まで指を入れたまま下に進んでいくとご覧の通り、きれいに剥けていきます。 ここまでくればあとはするすると面白いように剥くことができます。 短い動画ですが、さわぐるみ樹皮を剥ぐ様子を撮影しましたので、ご覧下さい。 https://youtu.be/X90frBUXdbA 剥ぎたてのさわぐるみ樹皮の内側。色が白いのに驚きます。水分がしたたっています。 この作業が、かごを作るまでの工程で一番好きかもしれないとおっしゃっていました。私もやってみましたが、実に気持ちが良いです! そして、何より、剥ぎたてのさわぐるみ樹皮の香りが忘れられませんでした。普段、私たちが完成したさわぐるみのかごの香りを感じるときには、芳醇な、熟成したようなまろやかな香りでした。 しかし、この剥ぎたての香りはそれと全く違いました。例えて言うなら、ウリのような、きゅうりのような、青みとうすい甘味がまざった爽やかな香りでした。 普段、完成品で届けていただく香りしか知らない私にとっては、全く別の素材の香りでした。この香りはこの瞬間しか味わえないようで、実に贅沢な瞬間に立ち合わせてもらったんだと実感しました。 こちらが剥かれた後の芯の方です。 樹皮が剥き終わった芯のほうは、山に返します。この芯は、1年後にはふかふかに分解され、土に戻る準備状態になるそうです。 「自分が芯を返した場所は次の年に状況を確認するようにしています。 そこまでしっかりと確認しておきたいですね」とおっしゃる背景に、山の素材への敬意を感じます。 芯から剥がされた樹皮です。あたりには爽やかな香りが漂います。 芯と樹皮をどんどんと剥がし、分けていきます。 滑らかで透き通るように美しい内側です。 みなさまにお届けするかごの裏皮は黒いですが、剥ぎたてはこのような色の組み合わせです。 剥ぎ終わった皮はビンを使って、白い内側をくるくると逆向きに巻いていきます。 樹皮はもともと丸まっていたほうへ戻ろうとするので、しっかりとビンに押し付けながら、巻いていきます。 うまく流れができればビンを抜いて、まとめていきます。...