コラム
世界かご編み大会2023 in ポーランド 7 -ポーランドに隣接する国々-
スウェーデン、ドイツ、ポーランドのセルフェンタメンバーとの植物園、と展示や交流をして来ましたが、他にもまだ展示やブースを出している国がありました。 まずは、ポーランドの東南地方が隣り合っているウクライナからです。大変な状況下にありながらも、素晴らしい展示を準備され、販売ブースも展開していました。ポーランドの多くの難民受け入れの話などを聞いていたので、このウクライナのみなさんの展示のパワーには驚きました。人々の生活は続いている、のだと。 「Uklaine bloom!-ウクライナの輝き(花盛り)」 かごについては麦わら細工が多いウクライナにおいて、その茎や穂を用いて、素晴らしいリースを作っていました。 リトアニアで「ソダス」と呼ばれる飾りも見られました。麦わら(Straw)細工の共通点かもしれません。 麦わらを染めたりして、すだれ状にしたもの(写真左)や、人形のような造形も。 草細工の柔らかさをうまく使い、さまざまな形を作っているのが印象的です。その他、やなぎやパインのような素材で作られたかごも。 麦わらの敷き物に、バッグに帽子。日本の稲わらの利用に近い感覚です。 販売ブースもあり、さまざまなかご細工や伝統的な紋様をあしらった布なども並んでいました。支援になるかはわかりませんが、佐々木さんと私も気に入ったものがあったので、いくつか購入させてもらいました。 続いては、ポーランドの南で隣接しているスロバキアの展示です。 スロバキアでもポーランドや他のヨーロッパ諸国同様に「やなぎ」を使った細工をします。 細かい細工も見ることができます。 美しく、実用性がありそうなものも。 こちらはとうもろこしの皮を使ったかごです。実に素朴で、そしてしっかりと編まれています。 かご作りで使われる道具も展示されていました。 スロバキアの民俗芸術センターのトマスさん(写真左)。2019年大会でも展示や交流をしたこともあり、お互いに再会を喜び合いました。私の名前もご自身の名前に近いことから覚えていてくれました。 写真真ん中の赤と青の機械は、ひご作りマシーンです。かごを作る人にとって、編む前の材料をこしらえるのが一番の大事な仕事とも言われます。それを少しでも精度を上げて効率化、高速化したいのはみんなの願いです。かごの作り手でもあり、今大会の審査員である「JURY」メンバーも熱心にこの機械について質問をしています。 続いては、反対にポーランドと北で接するリトアニアのかご販売ブースを訪ねました。 こちらはリトアニアの販売ブースです。たくさんのかごがあり、ずっとお客さんが絶えず、盛り上がっていました。 販売ブースに立たれていたご夫妻はコンテストにも参加されていて、大忙しのようでした。 他にも職人さんをこちらの工房は抱えているようで、たくさんのかごをお持ちのようでした。実直な作りが多くとても良い印象を受けました。 佐々木さんと私が熱心に、かごを見つめていると、奥様が「あなたたち、もっと見たかったらこちらへどうぞ」と、会場の外に停めてある車まで、案内してくれました。特注かと思うくらい、大きなメルセデスのバンの後ろをガチャリと開けて、「まだ、ここにもあるから気に入ったのがあれば、持って行っていいわよ」と。 夢のような車内でした。出番を待つ、たくさんのかご。 最後は地元ポーランドのかごの販売ブースです。 一番ブースもかごの数も多いです。 圧倒的なかごの数でした。 かごだけではなく、家具のようなものも多く並んでいます。 スツールもよくできています。 材料のやなぎもこのような束で売られています。日本で言うと、かごの販売会に材料の竹が売られているというイメージでしょうか。それだけ、材料を扱う人がいて、買う人もいるということを表しています。...
世界かご編み大会2023 in ポーランド 6 -セルフェンタとのひと時@ポズナン植物園-
ポーランドでの世界大会渡航前に一つ、会合のアポイントをいただいていました。 現在、私たちがご紹介するポーランドのかごを、現地で取りまとめてくださっている「セルフェンタ」というグループからのお誘いです。 彼女たちはポーランドのかごの作り手を訪ね歩き、そして、そのかご文化を国内外の人々に伝え、その技術やものが次の世代へ続いていくように、と日々奮闘されています。 会場まで車で迎えにきてくれました。赤いワゴン車がかっこよかったです。 そんなセルフェンタメンバーはこの大会の開催中に、ちょうどポズナンにある植物園(Poznan Botanical Gardens)で、がまを使ったワークショップを行なっているということでした。せっかくの機会ですから、大会の合間をぬって、佐々木さんと見学させていただくことに。 会場から植物園への20分ほどのドライブ中もたくさんの話に花が咲きます こちらの植物園は、ポーランドという大陸の一部の国の利点を生かし、アジアやヨーロッパ全体からたくさんの植物を集めているとのことです。 その植物園の一角に、素敵なデザインの建物がありました。この建物の中でセルフェンタチームが、ポーランドのかごの企画展を2階で行っているとのこと。また、同時にがまを使ったワークショップも1階で開かれていました。 指南役であるウツィアさん(写真左)。がまを使ったワークショップが得意だとのこと。 みなさん熱心にがまを使って、かごを編んでいます。 年齢層は比較的若い方が参加していた印象です。10人ほどの参加者の中で男性も2人ほどいらっしゃいました。 セルフェンタを主宰するパウリーナさん(青いワンピースの女性)は、ポーランド中を走りまわり、たくさんの作り手のもとを訪ねられて、熱心にかごの研究・紹介を続けていらっしゃいます。 ポーランドも日本と同様に、かごを作れる職人は減っていく一方とのこと。最後のお一人しか作れないというかごも、多く存在しているそうです。 ポーランドも素材としては、やなぎが一番多いですが、他にもヘーゼル、パインなどを材料にしたものもあります。 こちらはヘーゼルを使った、四角い足付き、持ち手付きかご。造形が素晴らしいと思いました。 ポーランドには、マツ科の植物の根っこを使ったかごもあります。その根っこそのものの迫力ある展示。Zogata(ゾガッタ)というかごです。(こちらから商品ページへ) パンをのせる、麦わらを使った大皿のようなタイプのかごもあります。 日本の岡山県には行われるヒメガマ(学名:Typha domingensis)細工があります。ポーランドにも同様にガマ(学名:Typha latifolia L.)をかごにする文化があります。遠く離れた地においても似た植物を加工していること、人々の営み、植物を加工する知恵の共通に感動を覚えます。 日本ですと稲わら(=米)をかごの材料にしますが、ポーランドでは、麦わら(=ライ麦パン)をかごの材料にします。その土地で食べられている主食とかご作りには密接な関係があります。実を食し、残った茎や葉を生活道具にする先人の無駄のなさ、合理性にここでも気付かされます。 かごを編む時の道具も、実にそれぞれの土地で研ぎ澄まされています。「よいかご作り」に、「最適な道具」はいつもセットです。ポイントは、高価な道具が、必ずしも良いわけではないということでしょうか。 急に降り出したサンシャワー(天気雨)。植物は、みずみずしく輝いていました 今回の大会は、近代的なコンクリート作りの建物の中で行われたため、 このような植物がおおらかに繁茂する植物園を散策しながら、交流を深められたことはうれしい時間でした。 まるで別世界にしばらくいたような感覚があるほど、元気な植物の楽園。 日本の植物を展示しているエリアで、山ぶどうの蔓を発見した佐々木さんと、それに興奮して、触って確認するパウリーナさん。どこへ行っても、かごや素材への情熱は高いです。...
世界かご編み大会2023 in ポーランド 5 -ドイツの展示-
前回のスウェーデンに続いて、ドイツチームの展示のご紹介です。 実は、ドイツには日本と同じように、かご細工を学ぶための施設があります。日本の大分県別府市にある竹工芸訓練センターは2023年現在、2年制で1学年12名が学ぶということになっています。 ドイツは3年制で同じく、1学年10名が学ぶシステムとのとことです。 ドイツのかご細工の材料はほとんどが「やなぎ」を使った細工です。日本の竹細工に比べますと、よりアート色が強く、オブジェのような造形のものも多いです。 大きなスペースを美しく使い、今回は卒業生が製作した作品を中心に展示が作られていました。 リュックを作った方や、 プラスティックの折り畳みコンテナを、やなぎと木材で作ってみた人、 チェスセットを作った人まで。 細編みで、実に精巧に作られています。 その他、訓練施設の様子が映像で見られたり、 卒業生による実演や、使われている道具を見ることができるなど、充実した展示となっていました。 このようなかごを編むための道具も、しっかりと作られているところがドイツらしいと言えるのかもしれません。 会場には「かごクィーン」もプロモーションに参加していました。クィーンの横の人形もまた、やなぎで編まれたかご細工です。 ドイツにはリヒテンフェルスという、いわば「かごの町」があり、毎年、秋にお祭りが開かれています。かごの訓練施設もその町にあります。 もともとかごの町である場所がお祭りの時期には、さらにかご細工一色になるそうです。 町中に編み細工のインスタレーションなどが設置されたり、作り手が実演をしていたりと、楽しい数日になるとのことで、私たちもぜひ訪れたいと思っています。 そのようなお祭り開催の中心人物であり、今回、丁寧に私にも説明をしてくださったマンフレッドさんです。 かごへの情熱を精いっぱい話してくださる彼と、たくさんの話をじっくりとすることができました。 リヒテンフェルスのお祭りの歴史は長く、400年とも500年とも言われていること ドイツでは施設で3年間、やなぎのかご作りが勉強できるが、卒業後それを職業にできている人はほとんどいないこと 施設では、卒業後の仕事として必要な経営的な内容のカリキュラムはないこと その3年間は税金を使った事業でもあるので、せっかく身につけた技術なのに仕事として続かないことは、実にもったいないと感じていること 残念ながら、現在ドイツでは、かごを作っても買い取ってくれるようなお店がなくなってしまったこと。 卒業生の販路は、いろいろな場所で開催されるクラフトマーケットやSNSやHPでの販売がほとんどということ。 私はそれを聞いて、実に複雑な思いになりました。販売という点において、日本と同じような状況、またはもっと厳しい状況でもあると思ったからです。 作り手の方にとって、どんなに技術があっても、かごをうまく作れたとしても、売り先がない、または売り先が安定していない状況だということです。コロナのような疫病で、数年間クラフトマーケットが開催されないというようなことも起こりうるということです。 私たち自身は、今の時代、一方で作り手の方が単独でSNSやHPを駆使して販売もできるわけですが、もう一方で、作り手と売り手が協力して、お客様に販売することも、理にかなっていると思っています。残念ながら、ドイツにはその「売り手」を担う人が誰もいなくなってしまったという現状のようです。 私たちも他人事ではありません。かく言う私たちのお店も元々は先代で閉める予定だったお店でしたので、もしかしたら、同じ状況になっていたかもしれません。 マンフレッドさんたちは、その状況に危機感を持っていて、そのようなかご細工を販売できるお店を計画されているとのこと。 また、同時にそのような状況から、現在私たちのように、かごを専門として国内外のかごの作り手の方と関係を作って、お客様に販売しているお店は貴重だとおっしゃいました。...
世界かご編み大会2023 in ポーランド 4 -スウェーデンの展示-
屋内会場は、大きく2つのエリアに分かれていました。 1つは、コンテストの参加者が実演をするエリア。もう一つは、展示と販売ができるブースが並ぶエリアです。 各国の展示の様子をご紹介します。まずはスウェーデンの展示です。 かごは世界において、最も古くから作られている手工芸だということを説明しています。また、残念ながら現在は引き継がれることなく、その技術を失ってしまっているということも。 いくつかの理由としては、土の中で分解される材料でできていることと、人々にとって、ごく普通で実用的なものだったため、使い終わったら燃やされていたことが挙げられるとのことです。 こちらはジュニパーという素材で作られたかごです。ジュニパーはセイヨウネズとも呼ばれるヒノキ科ビャクシン属の木で、その果実はお酒のジンの香りの大事な要素になります。 同じくジュニパーで作られた両手つきのかごです。荒っぽくかっこよい作りで庭仕事、魚釣り、鉄道で使う石炭を入れたりするのに使われていたそうです。 こちらは日本語でバッコヤナギで作られたかごです。スウェーデン中部で作られていたようです。日本ですと、岩手県の面岸(おもぎし)地区で作られる「面岸箕(おもぎしみ)」は、サルナシとバッコヤナギを使って編まれています。寒い地域エリア同士の素材の共通点です。残念ながら、現在お作りになれるかたはいらっしゃらないとのこと。 スウェーデン南部では他のヨーロッパ諸国と同じように、やなぎを材料にしてかごを編んでいたようです。 ヘーゼルナッツが取れるヘーゼルの木を使ったかごもありました。ヘーゼルを使ったかごはポーランドにも見られます。 ほかにも近隣のエストニアなどで見られる、パインや白樺で作られたかごも。 展示をしてくれたスウェーデン人の方とたくさん話をすること、および情報交換をすることができました。 たとえば、 スウェーデンは(日本とおなじように)南北に長い国で、地域によって気候が違うため、いくつかの異なる材が使われていること 以前は、つかう目的別に実にたくさんのかごの種類があったこと もとは、かご作りは低所得層の仕事としてのイメージが強かった。刑務所で教えられる仕事のひとつでもあった。 19世紀から20世紀初頭にかけて、小規模農業者や高齢者、障害者にとっての大事な現金収入源となっていた。 いくつかの地域や村では、全員が従事するほど盛んになり、国外輸出もしていた。 そのような産業として認知されたことで、かごを作る人の社会的地位があがり、国内での手仕事保護運動の気運も高まり、クラフトショップなどでかごが販売されるようになってきた。 日本のかごやざる、箕の文化が辿ってきた歴史と、地理的にはそこから遠く離れているスウェーデンでも、系譜としてはそう遠くないということが再確認できました。 スウェーデンのかごをみなさまにご紹介できるよう、こちらの方々とも連絡を取り合っていきたいと思います。 イチカワトモタケ +++++++++++++++++++ つづく
世界かご編み大会2023 in ポーランド 3 -ポズナンの街並み-
大会期間中、毎日朝から夕方まで大会に参加し、夜は他国の人々との交流食事会にも参加していましたので、ほとんど観光をする時間がなかったのですが、今回のコラムでは少しでもポーランドのポズナン市の雰囲気を楽しんでいただければと思います。 こちらはドミトリー5階の部屋から。早朝の景色。 主催者が用意してくれたドミトリーから、会場へ通うまでの道のりや、ドミトリーから徒歩圏内の景色ではありますが、日本とは違う景色に、十分私たちは楽しませてもらうことができました。 ドミトリーの入り口です。ポーランド語しか話せない受付の方との四苦八苦したコミュニケーションは忘れられません。 ポズナンは中世ポーランドの首都でしたが、現在は旧市街郊外には大学が数多くあり、学生の街となっています。その学生寮の一部を、今大会参加者は利用させてもらいました。 数百万人の隣国ウクライナ難民を受け入れたと言われるポーランド。学生寮の中にはウクライナとポーランドの国旗を並べる部屋も。 緑と黄色を基調としたバスがよく走っており、市民の足になっている印象でした。 真っ赤なKIOSK。 スーパーマーケットも整然とした雰囲気です。 無人レジも設置されており、私たち外国人でもスムーズにお買い物ができました。 農業・酪農国でもあり、野菜はどれも大きく、おいしそうでした。乳製品の種類もとても多く、チーズ用の冷蔵庫が何台も並ぶほど。肉売り場も本格的で、ウインナーやソーセージは、とても充実しています。 そして、今回一番私たちの足として活躍してくれたのはこちらのトラムです。日本で言う路面電車です。バスと同じ緑と黄色の鮮やかな配色です。 2両の車両が連結されています。ほどよい乗車人数なので、乗り降りにもストレスがありません。揺れも少なく快適です。 目的地は違うものの、3-4分に1本と頻繁に到着します。 各駅には券売機が設置されています。 左はトラムの一般チケット料金、右は学割やその他割引き料金だそうです。現地通貨ポーランドズウォティはPLNと表記します。PLN4.00=140円程度、PLN80.00=2,700円程度です。面白いのが、実際に車両に乗る時間でチケットを買うことです。15分、45分、90分というように。それだけポズナン市の規模が大きすぎず、トラムの発着時間が安定しているのかもしれません。私たちは毎日乗るので、7-DAYSチケットを購入しました。 トラム車内です。買ったチケットを中の機械で有効化(改札)します。ただ、特に、車掌さんがいるわけでもなく、誰にもチェックされません。日本でも感じることがありますが、人の良心に委ねられたシステムだと感じます。 街の中心である旧市街の方へ行くと、トラムを動かすための電線がたくさん張り巡らされています。 車窓からちらりと見える景色が、実に美しかったです。 期間中、毎日トラムに乗って、寮がある駅から会場のほうへ、移動します。この移動時間もさほど苦にならなかったです。 会場の近くのこちらはポズナン駅です。大きなターミナルです。 電動キックボードも街中を走っています。 バスやトラム、車が並走するような中心地に今大会の会場がありました。 大きな大きなイベント会場の一角を使って今大会は行われました。 寮に戻る際に、私たちの寮の最寄駅にもポスターが貼られているのを目にして、外国にいながらホームを感じるような嬉しい気持ちになりました。 主催者の皆さんのご努力には本当に頭が下がります。 ポズナン在住のポーランド人女性の方と、英語でお話をする機会がありましたが、この街は、出かけることに不安はないとおっしゃるほど治安が安定しているそうです。 実際に私たちも滞在中、危険を感じるような瞬間が全くありませんでした。海外においてそれはとてもありがたいことです。 おかげで滞在期間中は不必要に用心をすることがなく、佐々木さんと無事に、安全に、問題なく過ごすことができました。 イチカワトモタケ...
世界かご編み大会2023 in ポーランド 2 -かごに集う人々-
4年に一度、同じ場所でかごを編むためにポーランドに集う人々。 そこでは、同じ言語を話す必要性を感じないほど、お互いに立ち振る舞いで敬意を表し、お互いの道具を見つめ、その材料について興味を持ち、目で、そして身振りで語り合っています。 かごを編まない私からすると、実に羨ましい瞬間です。 作り手同士は、必ずと言っていいほど、「触ってもいいですか」と断りを入れます。相手の作ったものを尊重している証と感じます。そして、それがコミュニケーションのスタートでもあります。 コンテスト開始前の和やかなひと時が終わると、出場者はそれぞれ自分の材料を手にし、真剣な表情でかご作りに向き合っていきました。 さわぐるみの樹皮を水につけて、状態を確認する佐々木さん。 ヨーロッパでよく使われる材料「やなぎ」は、前日の夜から漬けていた方も多かったです。それだけ元々は乾いた状態だと編むのには硬い素材であり、完成した後もかっちりと丈夫なかごになるということです。 手前の日本人女性はドイツで柳のかご編みを3年間勉強された樋口恵さんです。ドイツのチーム経由で、日本人として出場されました。 佐々木さんも底編みからスタートです。テーブルが想像以上に滑って、編みにくいとのことでした。このような不利な条件で編むことも、海外の大会ならではです。 2日間という短い日程で、材料づくりを一本一本、手で挽きながら始める参加者や、 大型の機械を入れて材料を作る人、 目を見張るような大きな木型を使ったり、 いくつかの木型を組み合わせて、かごの外枠を作ったりと、さまざまなアプローチでかご作りを始めます。 やなぎを材料としてかごを編む方が多かったです。 金属の型に編み込む方も多いです。 モロッコの方はエスパルトというコシのある草、 ニュージーランドの原住民マオリのかごを応用しているかたは、フラックスと呼ばれる草を材として使っていました。 ウクライナチームは麦わらを材料にしています。 台湾チームは、日本と同じような竹を使います。 自然素材以外の競技部門もあり、カラフルなかごを編む人も。こちらはエストニアからの参加者。 今回のコンテスト実演会場は、有料ではありますが、一般公開されているため、お客様が自由に出入りしながら、その作り手のみなさんのかご作りを、じっくり見ることができます。会場を訪れたお客様はかご作りに興味津々で、気軽にお話をしてこられるため、お客さんと話していると、あっという間に時間が過ぎてしまうとのこと。 幼稚園のご一行も。 コンテスト時間内でありながら、随時質問もされるという作り手の方からすると、バランスや時間配分を考えなくてはいけない大会です。 そして、大会の途中には、「JURY」というたすきをかけた、審査員も巡回してきます。質疑応答もありながら、のちの審査のために審査員も記録をしていきます。 審査員も、出場者と同じようにかご編みをする人たちです。その真剣な眼差しから、作り手同士の敬意が伝わってきます。 真剣にかごを作る人たちの背中は、どこか似ていて、いつまでも見ていられる光景です。 イチカワトモタケ +++++++++++++++++++ つづく