コラム
企画展- 1,000のデザイン
いよいよ、開催まであと2日となりました。今回の企画展 「岩手 さわぐるみのかご -表と裏で織りなす豊かな世界-」では、お出かけ用のかごバッグを中心に、室内での整頓にお使いいただける整理かごやブローチなど、ほぼ一点ものの、バラエティ豊かなかごの数々をご覧いただきます。 展示のメインとなる「かごバッグ」は、作り手の佐々木敏夫さんにとって、ご自身が初めて作られたものであり、今もコンスタントに作り続けられている製品でもあります。 「作品ではなく、製品を作っているという意識がある」とおっしゃる佐々木さん。それは、日々使う道具として、とにかく壊れてはいけない、丈夫でなければいけないと考えられているからこその言葉です。 道具としての頼もしさもさることながら、「芳醇」(というのがピッタリだと思うのですが)な香りと、とにかく心地のよい樹皮の手触り! 店頭では、ぜひすりすりと触れていただきたいです。 佐々木さんが作るきっかけとなった、師匠であるお母様が作られたかごバッグ(佐々木さん私物/企画展展示品) さわぐるみの樹皮には表と裏があり、その2種類の質感や色味の違いを用いて編まれたかごバッグは、ひとつひとつ異なり、さまざまな表情を見せてくれます。 たとえば、こちらは樹皮の裏を使って編まれた「総裏皮」のかごバッグですが、濃い茶色というよりも、「ブラック」と表現したくなるような、ダークな色味です。 表と裏の2種類のみですが、そこには何色ものグラデーションが存在し、それらが組み合わさることで、個性あふれるかごバッグが生まれます。 今までに作ってこられたかごの数は、1,000近くになるとお聞きしています。つまり、1,000ものデザインが生み出されているということ。なんとも楽しく、奥深い世界だと感じます。 今回の企画展では、その一部となる35点ほどを展示いたします。そして、こちらでは、そのまた一部を写真でご紹介します。 また今回は、かごバッグにあわせて使える「あずま袋」をご用意くださいました。 バッグインバッグとして、かごの中の荷物をまとめておくのにも良さそうですし、目隠しとしても活躍します。 季節や気分によって布の色味を変え、雰囲気を変えてみたりと、お楽しみいただけます。 こちらはかごバッグの作り手でもある佐々木さんのお母様が縫製されたものです。 ぜひ、さわぐるみの手提げとあわせて、お試しください。 なるべく壊れないようなかご作りを心がけているとおっしゃる佐々木さん。かごは丈夫な作りとなっていますが、万が一壊れたときには修理も承ります。 「基本的には、修理をしながらずっと使えるものなので、どんどん使って欲しいと思います。」 長い時間をかけて、経年変化をしながらそばに寄り添ってくれる、頼もしく愛らしい一品になることと思います。 この企画展が、その一品を見つける、お客様とのご縁を繋ぐ機会となれば、嬉しいです。 _ _ _ _ _ //ご案内//_ _ _...
企画展- 岩手と、さわぐるみと
2022年、春。今年は東北地方も東京と同じく平年並の、6月15日の梅雨入りでしたが、そのちょうど1日前にあたる、6月14日。 スタッフ数名で盛岡を訪れ、今回の企画展をお願いするかごの作り手佐々木敏夫さんにお会いして、お話をうかがいました。 梅雨入り間近とはいうものの、この日は爽やかな、すっきりと晴れた1日でした。佐々木さんのお話では、最近は気候変動の影響か、盛岡でも暑さを感じる日が増えているそうです。ただ、この日はそこまで暑くもなく、吹く風が少しひんやりとした、「昔の盛岡っぽい」陽気とのこと。 ご友人の高倉さんも同行してくださり、佐々木さんに、さわくるみの採取ポイントをご案内いただきました。 さわぐるみの採取ポイントに向かう車内では、ひとりのスタッフが札幌に住んでいたことがあるという話から、盛岡の冬についての話に。札幌など北海道から盛岡に来た人が、「盛岡はめちゃめちゃ寒いね」とよく言うんです、と佐々木さん。 真冬は盛岡市内でもマイナス10度を下回る寒さになり、市の中心部から離れた「薮川(やぶかわ)」へワカサギ釣りに行くと、朝方にマイナス20度ほどを体感することもあるそうです。早朝に釣りをしていて、晴れ間が見えると「空中にキラキラとしたダイヤモンドダストを見ることもできるんですよ」と教えてくださいました。 そんな寒冷の地でもよく育つさわぐるみ。 今回は、県内の採取ポイントのひとつをご案内いただき、刈り取るのに適したさわぐるみの木を選んでスタッフにも刈り取りを体験させてくださいました。 伐り取った木は、切り込みを入れて樹皮を剥いでいきます。 樹皮の裏や剥がれた木の芯に触れると、しっとり、ペタペタとして瑞々しい。 もっと採取する時期がいいと、枝を伐った断面から水分がぼたぼたと滴るように垂れてくるほど、フレッシュだといいます。 *2021年5月に取材したときのコラムも合わせてご覧ください。→材料採取 岩手県のさわぐるみ採取 製作だけでなく、材料採取もご自身でおこなう佐々木さん。 毎年、自然の中に分け入って材料を採り続けていくというのは、かなり根気と体力のいることです。また近年では、熊の出没も増えていて、去年は佐々木さんも遭遇した経験があるとのこと。 採取期間中の何よりの楽しみは、地元のラーメン屋さん巡り。その時期は毎日のように美味しいラーメンを食べるそうです。「くるみなのか、ラーメンなのか」と笑いながら言います。ラーメンを食べるために、くるみを採っているんじゃないかと。 かご作りを始められるまえは、釣り関係のお仕事に就いていらしたほどの釣り好き。材料採りが落ち着くと、「そろそろ釣りにいこうか」となるそうです。 子どもの頃から、ずっと盛岡に住んでいらっしゃる佐々木さん。友人や親戚がいたり、前職で関東に行くことはよくあったそうですが、「東京は遊びにいくところという感じです」。 「こっちにいたほうが遊べますね」山も、川も、海もある。自然も街も近い。「盛岡にいれば、だいたいなんでも揃いますよ」。 仕事も遊びも、どちらも生活の大切な要素。佐々木さんの作られたかごの数々を見ていると、それが反映されているように感じます。 9月16日(金)より始まる弊店の企画展では、初日(16日)・2日目(17日)と佐々木敏夫さんが在店してくださいます。 素材、かごのこと、かご作り、地元のことについてなど、直接お話をうかがえる貴重な機会ですので、ぜひご予約のうえ、お越しください。 ※採取場所は、すべて許可を得てから採取、撮影をしています。 _ _ _ _ _ //ご案内//_ _...
企画展- 岩手 さわぐるみのかご
このところは、朝や晩になると涼しい風も感じられるようになってきました。 あと一か月もたち、残暑が和らぎ、実りの季節を迎えているころ。9月16日(金)より、弊店で2回目となる企画展を開催いたします。 タイトルは 「岩手 さわぐるみのかご -表と裏が織りなす豊かな世界」。 こちらのさわぐるみのかご。5年ほど前から弊店でお取り扱いをはじめ、定期的にご紹介しご好評をいただいております。弊店でのロングセラー商品のひとつです。 いつもは数点ずつのご紹介でしたが、今回の企画展では、かつてない点数のかごたちが集まります。 さわぐるみという同じ素材であっても、ひとつひとつの樹皮に色の濃淡や風合い、模様の違いがあり、また、それらを使って作られたかご(とくにかごバッグ)は、ほぼ一点一点、デザインも異なるため、店頭にならぶラインナップも、表情豊かに、きっと目を楽しませてくれることでしょう。 さわぐるみならではの、芳しい香りもお楽しみいただけたらなと思います。 写真では表しにくい、樹皮の質感や香り、かごのサイズ感。 こうしてコラムやInstagram、オンラインショップなどで商品をご紹介するときに、なるべく写真や文で、そのものの良さが伝わるようにと心がけていますが、やはり、直接見ていただいたお客様から、「写真で見るのと実際に見るのでは違いますね」というお声をいただくことがあります。 この機会に、さわぐるみのかごの世界に直に触れて、体感していただけたらと思っています。 初日と2日目には、作り手である佐々木敏夫さんも在店してくださいます。 素材、かごのこと、かご作り、地元のことについてなど、直接お話をうかがえる貴重な機会ですので、ぜひご予約のうえ、お越しください。 今年6月には、製作されている現地へ、スタッフ数人で取材にうかがいましたので、そのときのお話もこちらのコラムでご紹介します。 どうぞお楽しみに。 _ _ _ _ _ //ご案内//_ _ _ _ _ *作り手さんが在店される9/16(金)、9/17(土)のご来店は、完全予約制となります。 →ご来店予約はこちらよりどうぞ(8/22より予約開始) **企画展期間中は、「岩手...
企画展- オンライン受注会始めます
先月になりますが、3月17日より27日までの11日間、弊店にてはじめての企画展「青竹工房 桐山 個展 --米研ぎ笊から籠バッグまで--」を開催いたしました。 もともと桐山さんの籠のファンだという方々をはじめ、青竹細工に興味をお持ちの方、籠が大好きで弊店にはじめていらしたという方、多くのお客様に足をお運びいただきました。 ご予約、ご来店いただいた皆さま、誠にありがとうございました。 とくに今年に入ってからは、コロナ感染が流行の兆しを見せていたこともあり、無事に開催できるのか、その可能性を桐山さんと何度もご相談し、検討を重ねてまいりました。 決して先行きの見通せない中で、そして1か月の会期延長というイレギュラーな事態の中でも、 桐山さんご自身は常に揺らぐことなく、日々のご製作を続けられ、最終的には総数にして70点近くの作品を、この企画展のために作ってくださいました。 店内を埋め尽くすほどの作品の数々。これほど多くの「青竹工房桐山」作品を一堂に見られる機会はそうありません。 ぜひ、少しでも多くの方に見ていただきたいという思いから、オンラインショップでも受注販売会を行う運びとなりました。 会期中にご来店を控えられた方や、遠方の方にもぜひ、ご利用いただけたら幸いです。 《企画展 青竹工房 桐山 個展 -オンライン版・受注販売会-》 【受注期間】 2022年4月14日(木)〜4月24日(日) 【ご案内とご注意】◎商品のご購入について各商品ページの冒頭で重要事項をご説明しています。ご購入の前に必ずお読みいただき、ご了承の上でカートへとお進みください。 ◎ご配送について現品の在庫があるものは受注後、3営業日以内に発送いたします。在庫のないものに関しましては、製作・お届けまでに6か月から1年ほど、お時間をいただきます。また、今回いただく受注の全体数によっては、上記以上のお時間をいただく場合もございます。ご了承ください。 *受注販売会ページはこちら //ご案内// * 桐山浩実さんについて、2/27リリースの『婦人画報デジタル』にて工芸ライターの田中敦子さんによる取材記事が掲載されています。ぜひご覧ください。 →桐山浩実さんのご紹介記事 * 弊店も個展開催場所としてご紹介いただきました。よろしければこちらもご覧くださいませ。 →市川籠店のご紹介記事
企画展- 開催中です
3月17日より企画展「青竹工房 桐山 個展 --米研ぎ笊から籠バッグまで--」が始まりました。 初日からの5日間は、大分から作り手の桐山浩実さんにお越しいただき、青竹箸削りの実演をしていただきました。 いい飴色の艶が出た桐山さん製の籠バッグをお持ちになるお客様もいらしたり、すでに桐山さんの籠をいろいろお持ちだというファンの方もいらして、お話しながら、教えていただくことも数多くありました。 また、竹籠に興味を持ち始めたから、とお越しくださった方も。お客様と桐山さんのお話を傍で伺いながら、心が温まる5日間となりました。 ご予約いただき、ご来店くださった皆さま、誠にありがとうございました。 この後も会期は続きます。ご予約なく、ご自由に見ていただけますので、どうぞお立ち寄りください。 桐山さんが実演をされていた席の後ろには、花を生けた「青海茶籠(せいかいちゃかご)」、四ツ目編みの「折敷(おしき)」(写真左上)、「野籠(のかご)」(左下)が展示されています。(※3点ともご購入いただけます。) 1. 青海茶籠 「青海茶籠」は、摘んだ茶葉をまとめて入れ、背負い籠として使う「茶籠」がベースとしてあります。この青海茶籠もかなり大ぶりな籠ですが、実際の茶籠はこの4倍ほどの大きさがあるそうです。 こちらは茶籠をぐっとスリムにして、青海編み(籠の上部の編み模様)を施したものです。光が当たると陰影がつき、青い海の波を想起させます。 ときには花入れとして、ときには籠そのものをお楽しみいただけるのではないかと思います。 近くでご覧になりたい方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけください。 2. コンポートバスケット そして、センターテーブルには、桐山さんが「この形を作ってみたかった」とおっしゃる盛り籠、「コンポートバスケット」があります。 キュッとくびれたこの形こそが、桐山さんが作り出す形です。 横から見た時と、上から見た時は全く違う美しさの世界が広がります。 果物やお菓子を盛ったり、その広がりはさまざまなものを受け止めてくれることと思います。 3. たまご籠・買物籠A こちらは「たまご籠」と名付けられた可愛らしい籠です。その名の通り、卵を入れて運びたいという方のリクエストにより生まれた籠とのこと。 たまご籠は、楕円型の口をした「買物籠(A)」にちょうどすっぽり収まるサイズで、バッグインバッグとして使えるようにも考えられているそうです。 何と楽しい使い方、と嬉しくなりました。 花籠やリモコンを入れておく籠にも。小さいながらにいろいろなシーンで活躍するのではないかと思います。 4. ガーデンバスケット(F) 桐山さんは、竹細工を始められる以前、もとは木工を仕事にしようとされていたそうです。写真左にあるのは、その頃(30年ほど前)、奥様のお誕生日祝いに製作された裁縫箱です。 そしてその隣にある「ガーデンバスケット(F)」。こちらは、庭師(ガーデナー)の方からのリクエストで生まれたかごで、道具類とお弁当を分けて入れるのに蓋付きの籠を、ということで考えられたそうです。桐山さんを代表する作品の一つともいえる、特徴的な佇まい。 そして、機能性とその「カタチ」は、裁縫箱と共通するものがあるように感じられます。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ こちらは桐山さんが大分県別府の訓練センターに入所後、たったの半年で作られた籠です。わずか半年でここまでの作品を作り上げる情熱と素質におもわず脱帽します。 桐山さん所蔵品となりますが、お預かりして展示しておりますので、ご来店の際には、ぜひご覧になってみてください。...
企画展- 作品のお渡しにつきまして
企画展「青竹工房 桐山 個展」開催まで、あと2日となりました。 桐山浩実さんご在店中のご来店予約(3/17木-21月祝)ですが、引き続き受け付けております。この5日間は完全予約制となります。ご予約なしではご入店できませんので、お気をつけください。 また、企画展最終日まで全作品を展示いたします。少しでも多くの方に、その幅広い籠の数々を直に見ていただきたいと思っております。ぜひ、お立ち寄りください。 さて、ご来店いただく方へ、いくつかのご案内がございます。お越しいただく前に、お読みいただけますと幸いです。 *1 お渡し時期 展示作品は70点ほどですが、それぞれがほぼ(1点を除き)一点物となります。最終日まで全ての作品を展示するため、開催中にご購入いただいた作品は、全て企画展終了後(4月以降)のご配送となります。予めご承知おきいただきますよう、お願いいたします。 *2 受注 ご購入希望の作品1点目がご売約済みの場合は、受注を承ります。お渡し時期はおおよそ3か月以内となります。 *3 お支払い そのため、どの作品もお渡しは4月〜6月頃となりますが、お支払いは全てご予約時に、店頭にてお願いいたします。現金のほか、クレジットカードや電子マネーでのお支払いも承ります(QR決済は除く)。 *4 ご配送料 次のいずれかとなります。 展示品(1点目)をご購入の場合 → 無料(弊店負担) 受注製作の場合 → 配送料を頂戴いたします なお、展示品と受注品をどちらも購入された場合は別々のご配送となるため、それぞれの配送料が適用されます。 何かご不明な点がございましたら、お電話やメールでお問い合わせください。また、こちらのご案内は弊店コラムにも載せましたので、お時間のあるときにご覧くださいませ。 会期中は雨の予報も見られますが、弊店から少し足を伸ばした都立汐入公園や隅田川沿いでは桜が見頃を迎えています。天気の良い日には散策とともにお楽しみいただけたらと思います。 皆さまのお越しをお待ちしております。 大分県竹田市 //ご案内// *桐山さんが在店される5日間(3/17〜3/22)のご来店は、完全予約制となっております。 まだ空きのある時間帯もございます。ご予約の上、ご来店ください。 ご来店予約はこちらよりどうぞ **桐山浩実さんについて、2/27リリースの『婦人画報デジタル』にて工芸ライターの田中敦子さんによる取材記事が掲載されています。ぜひご覧ください。 →桐山浩実さんのご紹介記事 ***弊店も個展開催場所としてご紹介いただきました。よろしければこちらもご覧くださいませ。 →市川籠店のご紹介記事 企画展名 :...